時代小説によく出る用語集

【永田徳本】
ながたとくほん


『御書物同心日記』(講談社)は、本好きならたまらない御書物方同心を務める若者、東雲丈太郎が活躍する連作時代小説。古書店主でもある出久根達郎さんならではの作品だ。

永田(長田とも書く)徳本は、号を知足斎、あるいは茅庵とも称し、名医として著名だった。その経歴は不詳ながら、寛永七年に118歳で死んだといわれる。若い頃常陸の鹿島で神仙術をきわめ、また明人より方術を、下野古河の田代導道より医術を学んだ。牛にまたがり、牛の角に小袋をくくりつけ、諸国をみぐり医を施す。医薬は一服(一貼)十八文で、医術はまさに神の如し、万症を治癒したという。

著作には、前述のシーンで、丈太郎が新入りの同心に見せる『梅花無盡蔵』のほかに、『薬物論』『診脈論』『望診術』『知足斎十九万』『灸治法』などたくさんある。(99/05/02)


←もどる↑ナ行