時代小説によく出る用語集

【無住心剣流】
むじゅうしんけんりゅう


吉川英治さんの『鳴門秘帖』(講談社吉川英治文庫)の中で、主人公・法月弦之丞(のりづきげんのじょう)が使うのが、夕雲流(せきうん)の逆風剣だ。とくに美濃のもちの木坂での立ち回りは圧巻である。

夕雲流は、その名の通り、針ヶ谷夕雲(はりがやせきうん)によって編み出された剣法で、無住心剣流ともいう。禅の考えを取り入れ、鮮やかな剣さばきより、無心の境地を奥伝とする。「相抜(あいぬ)け」という引き分けを最高の技とする、地味な剣法(主人公には不似合いな)である。そのためか、道場や弟子の数が少なく、幻の剣といわれた。他流と立合って勝ったとしても「相抜け」で、負ければ斬られるということであれば、ちょっと割が合わない気もする。

「三鬼の剣」(鳥羽亮著・講談社文庫)や「江戸は廻灯籠」(佐江衆一著・講談社)などの作品でも、その遣い手が登場する。(98/02/28)


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