時代小説によく出る用語集

【古今伝授】
こきんでんじゅ


『群雲、関ヶ原へ』は、関ヶ原の戦いに向かう武将たちの人物描写、性格分析が秀逸であり、人間ドラマが堪能できる。

東軍についた丹後・田辺城は、五十余日の籠城戦の末に、西軍に降った。だが敗将・細川幽斎はこの降伏により名誉も所領も失わなかった。そして、この籠城戦は関ヶ原の合戦に重要な影響を与えた…。

古今伝授とは『古今和歌集』の字句の解釈を秘伝として、特定の人物だけに伝えることである。伝授は院政期を通じて盛んに行われたが、室町中期以降は一般にはまったく忘れ去られていた。秘儀を再興したのは美濃郡上郡篠脇城主東常縁(とうのつねより)である。

常縁は、連歌師宗祇に伝え、その秘伝は三条西実隆(さねたか)、公条(きんえだ)、実枝(さねえだ)と父子相伝され、幽斎に伝えられたのは元亀三年(1572)年だった。

幽斎は、師・実枝と相対し、読み合わせをし、解釈を統一させ、その上で聞書三冊、序一巻を渡された。内容は歌題になる鳥や虫などにかかわる秘事、詠歌の心得などが中心だが、治国の道や仏儒の説も付会されていたという。

古今伝授が重要なキーになる作品としては、他には安部龍太郎さんの『関ヶ原連判状』(新潮文庫)や、梓澤要さんの『百枚の定家』(新人物往来社)が思い出される。(00/02/27)


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