時代小説によく出る用語集

【権妻】
ごんさい


第9回時代小説大賞を受賞した『東京城残影』(平山壽三郎著・講談社)は、明治初頭の東京を舞台にした作品。当然のことながら、当時の社会・風俗・人情が随所に描かれていて興味深く読みことができる。

主人公で材木商の茂平のもとに、柳橋芸者で姪のお浜が肥前出身の官員佐川と連れ立ってやってきて結婚の許可をもらう場面で、佐川は故郷に糟糠の妻がいるので、お浜を妻に準ずる権妻にしたいと申し出たのである。

明治三年に公布された新律綱領では、権妻を妻と同等の二等親に位置付けていて、はっきり配偶者としての地位を認めている。これは、新政府の高官たちの大部分が百姓や郷士、下級武士のせがれで、たとえ国元に妻があっても、東京へ連れてきて妻にできる代物ではなかった。文明開化によって、西洋人とパーティーなどで交わる機会が増えた彼らは、誰も彼も、見目麗しい東京の女性を妻にしようとしたのである。(99/03/22)


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