時代小説によく出る用語集

【開帳】
かいちょう


平岩弓枝さんの『水鳥の関 上・下』(文春文庫)の中で、ヒロインのお美也の実家である汐見家に滞在中の武家に、地元の世話役が寺子屋の師匠をしてもらうように頼みに来たシーンがある。寺子屋をしている寺の住職が今年は江戸で出開帳を行うので、その準備で忙しいためである。

開帳とは、寺や神社が建物の修復などの費用を捻出する必要があった場合などに、社寺の秘仏や秘宝を一定期間だけ参詣者に見せたり、人集めの法話を行ったりするもので、寺でも行うが、もっと人の集まりやすい街道筋や町中で小屋がけをして大掛かりで催すこともあった。この後者の場合が出開帳で、地元では動員数に限度があるので、繁華な江戸や京大坂まで秘仏秘宝を運んで行う例もある。

ちなみに、江戸でもっとも多く出開帳が催されたのは本所の回向院で、宗旨にかかわりなく地方の社寺の出開帳の場所を提供していた。両国の盛り場と近接していただけに、たいそうな数の見物人が押しかけたという。(99/04/25)


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