時代小説によく出る用語集

【臥煙】
がえん


幕府は、将軍家の菩提寺である増上寺周辺の火事消火を、在府中の大名に受け持たせている。“方角火消(ほうがくひけし)”と呼ばれ、名誉ある役目とされた。方角火消に指名された久留米藩二十一万石では、藩邸に六百人あまりのガエンを置いたという。

ガエンとは、火事場で火を消したり延焼を防いだりする、中間のことである。ガエンは、四季を通じて、褌一本に法被一枚という格好で、いざというときのために屋敷からはめったに外へ出ず、することがないので、中間部屋で内職をしたり、博打を打ったりしていた。夜は一本の丸太を枕に十人ぐらいずつ寝て、火災発生となると、部屋頭が木槌で丸太を叩いて起こしたという。 鳴海風さんの「円周率を計算した男」(新人物往来社)の中に、ガエンの出動訓練がタイトルに付けられた「空出(からで)」という印象的な短編が収められていた。" 『風の山左』(えとう乱星著・徳間文庫)では、伊賀忍者の末裔として一橋臥煙衆が登場する。(98/09/06)


←もどる↑カ行