時代小説によく出る用語集

【比丘尼】
びくに


毎年、吉良邸討入りの起こった十二月十四日を目前にすると、忠臣蔵に注目が集まる。今年は、1999年は大河ドラマの影響で、例年以上に赤穂事件を扱った出版物が多かった。

『その日の吉良上野介』(新潮文庫)は、『四十七人の刺客』で、数年前に忠臣蔵ブームを巻き起こした池宮彰一郎さんの短編集だ。その中で、討入りを控えた大石内蔵助が比丘尼宿に行く場面があった。

梵語で、比丘とは、食を乞う者の意で、比丘尼は、仏門に帰依し、具足戒を受けた尼僧を言う。それが、鎌倉・室町以降、尼の姿をして諸国を遊行した女芸人の称となった。戦国末期に京の四条河原で人気を得た出雲阿国の念仏踊が、後の歌舞伎踊に発展する。熊野比丘尼、歌比丘尼などの芸能比丘尼は、江戸に移り住んで、江戸初期の芸能として栄えるようになった。

それにつれ、比丘尼を真似た私娼があらわれた。意外に繁盛し、比丘尼宿が四谷、深川、根津、赤坂等に、できて生業としていた。内蔵助が足を運んだのは、赤坂の裏伝馬町にある山城屋という比丘尼宿であった。(98/12/13)


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