時代小説によく出る用語集

【大ふへん者】
おおふへんもの


『群雲、関ヶ原へ』は、関ヶ原の戦いに向かう武将たちの人物描写、性格分析が秀逸であり、人間ドラマが堪能できる。この戦いの導火線ともなった上杉景勝は、得な描かれ方をしている。

家康時代の到来が予感され、強い緊張を強いられた景勝は、多くの牢人を採用することになる。その中には、山上道及、上泉主水、車丹波守、水野藤兵衛と並んで、前田慶次郎がいた。

「新参の分際で大武辺者(ぶへんもの)とはなにか」と同僚からその僭越を責められた慶次郎は、目もあやに打ち笑い、「これは大不便者と読むのだ。永年の牢人ぐらしでわしは貧乏である。女房もいない。だから大不便者と書いた。文字の清濁も弁えぬとはさすが田舎者だな」と答えたという。

前田利家の甥は、作中では利家より6歳年長で、この年68歳とされている。隆慶一郎さんの『一夢庵風流記』(新潮文庫/集英社文庫)では、青年のイメージが強かったが…。もっとも、この老武者は対最上戦で「大武辺者」の指し物に恥じないだけの働きを示したという。(00/02/20)


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