【お玉落ち】
おたまおち
主人公紋蔵のように、俸禄を米で受け取る幕臣を「切米取り(きりまいとり)」というが、彼らは春夏冬のそのときがくると、御切米請取手形(おきりまいうけとりてがた)である札(ふだ)を支給される。その札を、受け取り代行業者である札差に届ける。札差は預かった札を、書替役所に持参し、札を改めてもらって書替奉行の裏印をもらう。その後、札差は、札旦那(切米取り)の札を八百俵単位にまとめ、半紙四つ切に、高・渡高(わたしだか)、石代金、札旦那名、札差屋号を記し、丸めて玉にし、御蔵役所の通称“玉場”に持参する。
玉場には蓋のついた玉ひしゃくという曲げ物があり、役人は、札差が持ち寄った玉をまとめて曲げ物に入れる。曲げ物の蓋には玉がひとつずつ出る穴がある。役人がひしゃくを振ると、玉が落ちて出てくる。玉が落ちると、札差は、玉(半紙)に名前が書かれている札旦那に代わって米や金を受け取る。そして、すぐさま札旦那に使いを走らせ、玉が落ちた旨を知らせる。知らせを受けると、札旦那は、札差に出かけて金や米を受け取るという流れになっている。 切米取りは、何万何千といるために、混雑を避けるために上記のような手順を踏むようになった。切米取りが俸禄(米や金)を受け取ることを、「お玉落ち」というようになる。(98/08/09)