時代小説によく出る用語集

【入込湯】
いりこみゆ


澤田ふじ子さんの『背中の髑髏 公事宿事件書留帳 五』(廣済堂出版)の表題作は、公事宿・鯉屋の居候・菊太郎が、風呂屋で鋳掛け屋の父子を見かけるところから、事件が起こる。

この当時(文化十三年頃)、風呂屋は京では男湯と女湯に分かれていた。しかし、伏見などでは、釜焚きの費用を安くあげるために、男女混浴の「入込湯」が営まれていた。

寛政の改革や天保の改革では、風紀を重んじて、入込湯を禁止し、風呂屋は厳密に男湯と女湯に分けられた。それでも改革は行き届かず、場末になれば、入込湯が見られた。また、男湯と女湯を分けた風呂屋でも、湯船の仕切り板の下には大きな隙間があり、湯船の中からそこをくぐれば自由に行き来ができたという。

女たちは好色な男の手から見を守るために、湯文字(湯巻)をつけたり、グループで入浴したりしており、不らち者は総がかりで追い返すなどおおらかであった。(99/05/30)


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