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朱の丸御用船

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朱の丸御用船

(しゅのまるごようせん)

吉村昭

(よしむらあきら)
[事件]
★★★★

悲劇的な歴史小説ということで、今まで敬遠していたが、そろそろ吉村作品に触れてみたくなり、文庫化を機会に読むことに。吉村さんの歴史小説は、史実に忠実で、綿密な史料の渉猟に定評がある。本作品も、歴史書にほとんど記述されることがない、地方の事件「波切騒動」をドキュメントタッチで描いていて興味深かった。

登場する人物名はすべて史料に記された実名だが、主人公の弥吉は作者の創作した人物で、彼を通して波切村をはじめとしたその地方の風俗、地勢、気象を書きたかったため、とあとがきで記している。とくに彼を通して、結婚、出産の風習が事細かに描かれていて、物語に奥行きを与えているように思われる。

物語●志摩国波切村の漁師・弥吉は、秋刀魚漁を終えて浜に戻る途中、流れ仏を発見した。漁師にとって、流れ仏は豊漁を約束する吉兆だった。二日前に、村の前面に広がる大王崎の岩礁で廻船が座礁しているのが発見され、村では荷を素早く陸揚げ(瀬取り)して、役所に通報せずに隠匿していた…。

目次■朱の丸御用船/あとがき/解説 勝又浩

カバー:竹元良太
解説:勝又浩
時代:文政十三年(1830)
場所:志摩国波切村、周参見浦、安乗浦、的矢浦、有瀧村、四日市ほか
(文春文庫・429円・00/07/10第1刷・233P)
購入日:00/07/20
読破日:00/07/28

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