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新版江戸から東京へ(一) 麹町・神田・日本橋・京橋・本郷・下谷

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新版江戸から東京へ(一) 麹町・神田・日本橋・京橋・本郷・下谷新版江戸から東京へ(一) 麹町・神田・日本橋・京橋・本郷・下谷
(しんばんえどからとうきょうへ1)
矢田挿雲
(やだそううん)
[江戸入門]

中央公論社は、1999年2月より読売新聞社傘下の中央公論新社としてスタートするそうであるが、こういう本を文庫化できるは、中央公論社の見識の高さの現われか。セールスベースでは、きついと思うが全9巻を最後までぜひ刊行して欲しい。

筆者は、明治十五年に金沢に生まれ、仙台の県立第一中学を経て、東京専門学校に学ぶ。卒業後、報知新聞社で、野村胡堂のもとで、記者として活躍する。そのかたわら、時代小説・随想・俳句などを各誌に発表。この『江戸から東京へ』も報知新聞に連載し読者の好評を博すが、関東大震災(当日の新聞まで掲載)により、完了するにいたらず。綴るべき町が破壊され尽くし、東京市民たちが日々の生活と復旧に向けて追われていたわけで、当然のことではあるが残念。

大正期の一般的な史観が垣間見れて興味深かった。また、写真や図版に貴重なものが多く収録されているので、ファンの方は見逃せないところだ。

読みどころ●関東大震災前の東京に残る古蹟、町並みに沿って、太田道灌の築城以来の江戸から説きおこし、地理・歴史・風俗・伝統の各方面にわたり、江戸・明治の歴史の流れを物語る。考証に加えて豊富なエピソードを軽妙な筆で綴り、震災前の東京に残る江戸の面影を生き生きと描く、興味あふれる東京史蹟散歩。

目次■自序|麹町区(千代田区)道灌築城当時の江戸/安藤対馬守と井伊大老/大隈外相の遭難/鹿鳴館の仮装会/紀尾井坂の刺客/大蔵省と天慶の乱/大蔵省と先代萩/刺青だらけの奉行/お菊と塙保己一/坪十円の丸の内/江戸ッ子と天下祭|神田区(千代田区)護持院ガ原の跡/お玉ガ池の跡/丹前風呂と小赤壁/常燈明の悶着/夫婦散歩の開山/名物白酒と鰻|日本橋区(中央区)金座、越後屋、三越/白木屋立志譚/伝馬町の牢屋敷/宝井其角と賀茂真淵/蘆荻の中の色里/名古屋山三の鞘当/日本橋の高札/アダムスとお竹如来/紀文大尽の夢の跡/馬喰町と両国|京橋区(中央区)江島騒動/福沢塾の跡/銀座と佃島/瑞軒屋敷の跡/築地の梁山泊/采女ガ原の跡/銀座裏で遊猟|本郷区(文京区)本妙寺の振袖火事/八百屋お七異説/湯島天神と妻恋稲荷/鈴木主水の血戦/加賀様のお雪献上/朱舜水と一高気質/名木とお官学本山/烈女春日局/草の中から霊雲寺/炮烙地獄と寝釈迦/吉祥寺の縁起/丸橋忠弥就縛の家/江戸の虎疫濫觴/桔梗屋騒動/私立病院の開祖/第一号渡航免状/桂太郎と青木周蔵/李鴻章狙撃事件/酒精漬の隻脚/天神で公許の賭博/森川町の恐しさ/グズ安の書いた看板/大和屋の没落/時代逆行の恋愛/亭主を訴えたおみよ/剣抜地蔵のお守り|下谷区(台東区)上野公園の今昔/明和の大火と仁王門/佐倉宗五郎の伝説/お浦伊之助/不運な大仏様/寛永寺諸坊と上野戦争/博物館、動物園、東照宮/お化燈籠と殉職者の墓/秋色桜と錦帯円/柳の前と感応丸/錦帯円の娘/お花駒太郎/河内山、直侍、三千歳/広徳寺の山門/水呑みの竜/北村季吟翁の墓/指切り地蔵/義士と五条天神/川路聖謨の墓/池之端の御前/紅筆おつた/黒田清隆と孝行車夫/箕輪心中/鶯と狸の根岸/抱一上人と子規居士/御鷹匠廃止の一因/山岡鉄舟の墓/笹森お仙/高橋お伝の一生/谷中の一本杉/延命院騒動/お町と下谷名所|解説 朝倉治彦|新都・東京の成立 山本純美/収録図版リスト/付図 古川地図写植工房作成 麹町区 京橋区・日本橋区(一) 日本橋区(二)・神田区・本郷区・下谷区 図版監修 山本純美

カバー画:葛飾北斎「絵本隅田川両岸一覧」より
解説:朝倉治彦
解説・図版監修:山本純美
場所:麹町・神田・日本橋・京橋・本郷・下谷
(中公文庫・1,143円・98/09/18第1刷・476P)
購入日:98/09/20
読破日:98/11/14

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