無縁塚 浪人左門あやかし指南


Unrelated mound <ronin Samon Ayakashi teaching> (Kodansha Bunko) (2011) ISBN: 4062771284 [Japanese Import]
無縁塚 浪人左門あやかし指南
(むえんづか ろうにんさもんあやかししなん)
輪渡颯介
(わたりそうすけ)
[ホラー]
★★★★☆

『堀割で笑う女』『百物語』に続く、「浪人左門あやかし指南」シリーズの3作目。剣術道場で雇われ師範を務める浪人平松左門は、大酒呑みで無類の怪異話好き。同じ道場の弟弟子で、怖がりで幽霊嫌いの苅谷甚十郎とは好対照ながら名コンビ。

「実際行ったのだ。その結果、あの屋敷は本物だから駄目だと判断した。以前苅谷には言ったことがあるが、世間で噂される怪談の十中八九は眉唾な与太話だ。だが十に一つくらい、これは本物ではないかというものに突き当たることがある。そういう場合俺は一目散に逃げることにしている。今回がそれだ」

(『無縁塚』P.74より)


このシリーズの魅力は、怪異話好きの浪人左門が本当の怪異(幽霊など)はないということを知っていて、幽霊嫌いで怖がりの甚十郎をからかいながら、怪異を解き明かしていくこと。

自分も甚十郎に負けず劣らず怖がり、ホラー映画が大の苦手だが、このシリーズは安心して読める。ちょうど、京極夏彦さんの京極堂シリーズを楽しむように。
ところが、今回、左門は、無縁塚のある幽霊屋敷は本物で、甚十郎や鉄之助に近づくなと警告する。幽霊屋敷ばかりでなく、押し込み強盗や気うつな若旦那の存在など重層的にいくつかの事項が描かれていき、いつもと勝手の違う物語展開が面白い。

主な登場人物
苅谷甚十郎:ある藩の剣術師範役候補。幽霊嫌いで怖がり
辻村鉄之助:村松町に剣術道場を構える、甚十郎の兄弟子
平松左門:谷口道場の雇われ師範で、怪異話好きの浪人
銀蔵:古道具屋
太物屋の隠居
湊屋の主人
湊屋の若旦那
菱沼:湊屋の用心棒
茂次:田所町の湊屋の手代
重七:左門と同じ長屋に住む棒手振りの魚屋
千村助次郎:定廻同心
藤哲:町医者
安吉:藤哲の従者
商家の若旦那
寅太:仕事に就かずにぶらぶらしている若者
幽霊屋敷の裏の寺の住職
寺男
熊五郎:板前

物語●乱暴者の総領息子が座敷牢に閉じ込められたり、盗賊に一家惨殺されたり、女の幽霊や顔が潰れて首がぐにゃりと曲がった男の幽霊が現れたり、いわくつきの幽霊屋敷。怪異話に目がない平松左門は、早速、屋敷を見に行くが、本物の幽霊屋敷で裏手に無縁塚があり、その無縁塚が元凶だから、屋敷には近づかないほうがいいと、同門の友人の辻村鉄之助と苅谷甚十郎に助言する。
しかし、鉄之助は、商家に頼まれて、その屋敷に一晩泊まることになった。その夜、怪しい音を耳にした鉄之助は忽然と姿を消した。行方不明になった鉄之助の身を心配した甚十郎は、怖さを押さえて屋敷に泊まることにしたが…。

目次■第一章/第二章/第三章/第四章/第五章/第六章/第七章/第八章/第九章/第十章/第十一章/解説 田口幹人 新感覚江戸怪談ミステリーの雄・輪渡颯介ワールドの新境地

カバー装画:おおさわゆう
カバーデザイン:松昭教
解説:田口幹人
時代:明示されず
場所:青物町、根岸の先、ほか
(講談社・講談社文庫・600円・2011/12/15第1刷・304P)
入手日:2012/07/01
読破日:2012/07/19

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