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江戸よ語れ

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江戸よ語れ
江戸よ語れ
(えどよかたれ)
海野弘
(うんのひろし)
[ファンタジー]
★★★★☆

『江戸ふしぎ草子』『江戸星月夜』に続く、江戸ファンタジーシリーズ、第3弾。江戸の町を舞台に、当時の有名人から市井の無名人までを主人公にした、ショートショート。人情噺、怪異譚23話。それぞれに2編のコラムがついて、江戸通になれる1冊。

「茶道指南」に登場する川上不白、「石臼の目切」と「乞食仙人」に登場する柳沢淇園(きえん)、「馬鹿囃子」に出てくる松江藩主松平出羽守斉貴、「手車売」の祐天仙之助、「女文士」の只野真葛ら、有名人のエピソードが紹介され、その人物たちをもっと深く知りたくなった。

「菊作り」、「放し鳩」、「茶師」、「傘売り」の話がとくに心惹かれる。

物語●「菊作り」江戸時代に菊作りが流行した。渋谷金王八幡宮に菊作りの名人がいた。一人の男が訪ねてきて、名人の隠された素性をあばこうとする…。「雑俳師」元禄の頃、雑俳と呼ばれる俳諧が大流行した。俳諧で金儲けを企む者もあらわれた…。「触れ人」仕事をなくした学者が、子供のときに知っていた触れ人の生き方を思い出した…。「偽金づくり」強欲で非人情な大家が、新しく越してきた店子が偽金を造っていることを探り出すが…。「茶道指南」江戸川で若い男女の心中事件があった。この事件を調べていた与力は茶道界の内幕をのぞくことになる…。「放し鳩」鬼子母神の境内で鳩を売る老人がいた…。「狐の嫁入り」古道具屋に嫁入りした女が、実は狐であるという噂が流れた…。「植木屋」夫を亡くし、子どもと暮らす女の家に強盗が入った…。「女医師」町医者のもとに、どうしても医師になりたいという女が弟子入りを望んだ…。「石臼の目切」文人画家は、不行跡のために処分を受け謹慎の日々を過していた…。「縁切榎」板橋宿のはずれに縁切榎があった…。「茶師」江戸っ子にうまい茶を飲ませたい、と思った男がいた…。「乞食仙人」画家の若い弟子が暇ごいを願った。国に帰って百姓になるという…。「書・射名人」弓術の名人でもあった書家がいた…。「茶碗屋敷由来」神田橋御門外に細川家の茶碗屋敷があった。その名の謂れは…。「馬鹿囃子」馬鹿囃子に夢中になって、大名の座を棒に振った道楽殿様がいた…。「傘売り」雨が降り出すと、いつも傘三本を持って売っている男がいた…。「下駄屋」天保の改革で、牢に入れられた下駄屋がいた…。「手車売」幕末、京都警備のために新徴組を募集し、甲州の博徒・祐天仙之助も参加した…。「狸の卜者」銀座に、狸好きの占い師がいた…。「蚊帳売」もめごとのために上方にいられなくなった芸人は、江戸に流れついて蚊帳売になった…。「女文士」滝沢馬琴の名を慕って、奥州から弟子入りを求めた一人の女がいた…。「樽屋と九人の女」江戸町年寄樽屋与左衛門は、ひそかな悩みがあった…。

目次■菊作り|雑俳師|触れ人|偽金づくり|茶道指南|放し鳩|狐の嫁入り|植木屋|女医師|石臼の目切|縁切榎|茶師|乞食仙人|書・射名人|茶碗屋敷由来|馬鹿囃子|傘売り|下駄屋|手車売|狸の卜者|蚊帳売|女文士|樽屋と九人の女

装画:鈴木春信「お仙の茶屋」
装丁:ミルキィ・イソベ
時代:「菊作り」宝暦4年。「石臼の目切」享保13年。「書・射名人」宝暦2年。「手車売」文久3年。「女文士」文政9年。
場所:「菊作り」渋谷金王八幡宮。「触れ人」小名木川。「偽金づくり」飯倉片町。「茶道指南」赤城・御持組屋敷。「放し鳩」雑司ヶ谷鬼子母神。「狐の嫁入り」松枝町。「植木屋」西ヶ原。「女医師」千駄ヶ谷。「石臼の目切」向島。「縁切榎」板橋。「茶師」藤沢。「書・射名人」深川三十三間堂。「茶碗屋敷由来」神田橋御門外。「手車売」小塚原。「蚊帳売」鳥居峠。ほか
(河出書房新社・1,800円・99/12/20第1刷・253P)
購入日:99/12/19
読破日:00/01/10

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