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大江戸死体考 人斬り浅右衛門の時代

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大江戸死体考 人斬り浅右衛門の時代大江戸死体考 人斬り浅右衛門の時代
(おおえどしたいこう・ひときりあさえもんのじだい)
氏家幹人
(うじいえみきと)
[江戸入門]

1ヵ月ほど前に、小塚原の刑場跡や回向院に行って来たばかりということもあり、とても興味深く読むことができた。小塚原からの帰りに、かつて高杉晋作らが、夜中に斬首された吉田松陰の首を取り返しにきたことを思い浮かべて、度胸あるなあと思ったのだが…。当時は、死体というのはもっと身近で、そんなに気味が悪いものではなかったようだ。

山田浅右衛門家が、とても裕福だったという話が興味深かった。

『御家人斬九郎』(柴田錬三郎著・新潮文庫)や『介錯人・野晒唐十郎』(鳥羽亮著・祥伝社文庫)など、人斬りに関する本を読んできたが、今度は山田浅右衛門を主人公としたものを読んでみたい。

読みどころ●江戸には、意外に死体がゴロゴロしていたようだ。水辺には土左衛門、道端には行き倒れが…。また、江戸で評判の薬屋では、珍しい薬材の虫干し・一般公開が人気であったそうだ。そこでは、八尺の黒檀、象歯、狼頭、鼈甲、角水晶と並んで、人の陰茎、人の陰嚢、人の頭などが誇らしげに展示公開されていた。そして江戸の死体にもっとも深く関わった人物が人斬り浅右衛門こと、山田浅右衛門だった。

目次■プロローグ―江戸のアンダーワールドへ、ようこそ|第一章 屍都周遊(帝都の憂鬱/漂着死体は突き流せ/公方様も見て見ぬふり/妖しい屍/腐臭漂う井戸水/「膝付首縊」/江戸の検死官/検使マニュアル/『無冤録述』を見るべし/心優しき検使たち/なんでもありの情死コレクション/据物師山田浅右衛門/御様御用は晴れの舞台)|第二章 様斬(ためしぎり)(股肉をそぎ取った忠義者/私、売ります/股肉切りのもう一つの意味/川路の外交手腕/ポピュラーだった試し斬り/キリシタン受難/見学と実習/「ためし者場」利用規則/路上や川原で死体捜し/感嘆と喝采/マニアックな殿様たち/若き日の黄門様/変化する武士の気風/プロフェッショナルが登場/次第に高まる忌避の感情/重罪への付加刑として/不足する死体/鴎外と浅右衛門の奇妙な縁)|第三章 ヒトキリアサエモン(幽霊屋敷/中川左平太と山野勘十郎/泣く子も黙る鵜飼十郎右衛門/そして浅右衛門だけが残った/供養塔の建立/俳諧を学んだ理由/江戸の名物男/客筋は最上級/穢れと誉れ/山田家はとても裕福だった/富をもたらしたもの/なぜ浪人だったのか/「芸者」浅右衛門/クビキリかヒトキリか)|第四章 胆を取る話(臀肉切り取り事件/人間の脂肪を薬に?/キモを抜かれた少年/生ギモ信仰/ある東洋史家の“誤解”/「ひえもんとり」/文明開化の決断/キモ蔵があった浅右衛門邸/人胆売ります、「胴」も売ります/ジンタンかニンタンか/明治以降も絶えなかったキモ信仰/山田家にたかる小役人/上質のキモは健康な死体から/死体商売/小塚原に死体保管小屋を!)|第五章 仕置人稼業―浅右衛門の弟子たち(ひさしぶりの切腹/臨時雇用の介錯スタッフ/浅右衛門の弟子は何人いたか/不可欠な人材/川越藩据物師・長畑家の場合/親子で据物斬り/太平ボケ/かさむ出費/組織の中で/土壇の土を江戸から運ぶ/浅右衛門のコネで就職活動/お仕置きアルバイト/御家人残九郎と首打ち人左源太/修行も兼ねたアルバイト/究極のプロ集団)|エピローグ―もっと闇を!/あとがき/付録 山田浅右衛門の代々/主な参考文献と史料

装幀:菊地信義
(平凡社新書・680円・99/09/21第1刷・227P)
購入日:99/10/10
読破日:99/11/06

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