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余寒の雪

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[amazon_image id=”416764004X” link=”true” target=”_blank” size=”medium” ]余寒の雪 (文春文庫)[/amazon_image]
余寒の雪

(よかんのゆき)

宇江佐 真理

(うえざまり)
[短編]
★★★★

単行本(2000年9月、実業之日本社刊)。平成十三年度(第7回)中山義秀文学賞受賞作。

アンソロジー集『浮き世草紙 女流時代小説傑作選』(結城信孝編・ハルキ文庫)で読んだ「あさきゆめみし」以外は初読。「紫陽花」、「あさきゆめみし」、「藤尾の局」、「梅匂う」「余寒の雪」はいずれも、宇江佐さんらしい人情味あふれる読み心地よい作品。

「出奔」は、御庭番川村家にスポットを当てた短編。小松重男さんの「御庭番」ものを読みたくなった。

函館生まれで在住の作者の故郷を舞台にした「蝦夷松前藩異聞」が興味深かった。松前藩に恭順を誓う蝦夷の姿を描いた「夷酋列像」で知られる画家・蠣崎波響が、松前藩の筆頭家老と知り驚いた。作者のあとがきにより、アイヌ民族を描くことは非難を受けるケースが多いと知り、なかなか難しいものだとお思ったが、同じ題材での長編を読んでみたい

物語●
「紫陽花」かつて吉原の遊女から大店の太物屋の後妻になったお直のもとに、お直がいた見世の妓夫(客引き)の房吉がやってきた…。
「あさきゆめみし」紫屋のつばめ屋の長男正太郎は、女浄瑠璃語りの竹本京駒の追っかけにうつつを抜かしていた…。
「藤尾の局」両替商の後妻に入ったお梅は、先妻の二人の息子の暴力に悩まされていた…。
「梅匂う」小間物屋を営む助松は、西両国広小路の見世物小屋で女力持ちの大滝を見て心奪われた…。
「出奔」御休息御庭之番支配、川村修富(ながとみ)は、兄の新六より甥の勝蔵の出奔届が出されたことを聞いた…。
「蝦夷松前藩異聞」蝦夷松前藩の家老蠣崎将監広伴は、藩主松前昌広の変調に悩んでいた…。
「余寒の雪」女剣士・横山知佐は、叔父夫婦に連れられて仙台から江戸へ出てきた。その三人が訪れたのは、北町奉行所同心・鶴見俵四郎の屋敷だった…。

目次■紫陽花|あさきゆめみし|藤尾の局|梅匂う|出奔|蝦夷松前藩異聞|余寒の雪|文庫のためのあとがき|解説 中村彰彦

装幀・装画:唐仁原教久
デザイン:野田あい(H・B・C)
解説:中村彰彦
時代:「出奔」寛政十一年(1799)十一月
場所:「紫陽花」大伝馬町、山谷堀。「あさきゆめみし」西両国広小路、神田紺屋町。「藤尾の局」浅草・御蔵前、江戸城大奥。「梅匂う」西両国広小路、米沢町。「出奔」桜田御用屋敷。
(文春文庫・552円・03/09/10第1刷・318P)
購入日:03/09/06
読破日:03/09/20

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