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鬼の冠

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鬼の冠

(おにのかんむり)

津本陽

(つもとよう)
[武術]
★★★★

歴史小説や剣豪小説のイメージが強いせいか、津本陽さんの代表作と呼ばれているような作品をほとんど読んでいない。どうしても他の読み味のソフトなものに目が行ってしまう。ところが、『武道通信』十ノ巻に掲載された前田日明さんと津本さんの対談を読んだら、津本さんの本が無性に読みたくなった。

武術の修業中の若い頃の武田惣角の話が、前田さんの自伝の武者修業時代のエピソードとオーバーラップして面白かった。理論的に分析できる、剣術や柔術に比べて、惣角の合気柔術は神秘的であり、有機的である分だけ、凄味を感じる。その測り知れなさが、逆に「音無しの構え」の高柳又四郎などの剣術の天才の技を理解する助けになるような気もする。

武田惣角を描いた作品としては、今野敏さんの『惣角流浪』(集英社)があるようなので、読んでみたい。

物語●明治から昭和初期にかけて活躍した大東流合気柔術宗家・武田惣角(たけだそうかく)の生涯を活写した史伝。惣角は武芸全般の達人で、小野派一刀流、直心影流の剣術、槍術、相撲などを稽古し、旧会津藩家老西郷頼母(さいごうたのも)改め保科近悳(ほしなちかのり)を宗家とする、大東流の合気柔術の印可を相伝する。その生涯の大半を国内各地を放浪し、武術の修業と合気柔術の巡教に務め、70、80歳を過ぎても技法の威力は衰えず、140cm、50kg足らずの小男ながら、若年血気あふれる猛者たちを投げ飛ばし、翻弄したという…。

目次■会津の小猿/般若の面/武者修業/小天狗、西へ/異形の男/神との出逢い/大難/神性/練胆の行/惣角、北へ/神技/合気の神髄/漂泊/監獄部屋/巡教の旅/孤独の星辰/解説 桶谷秀昭

カバー:伊藤方也
デザイン:新潮社装幀室
解説:桶谷秀昭
時代:慶応四年。
場所:会津坂下町、下谷、沼津、岐阜、大坂、熊本、日向鵜戸神宮、鹿児島、松川、日光ニ荒山、函館ほか。
(新潮文庫・438円・91/05/25第1刷・98/06/25第15刷・263P)
入手日:00/04/19
読破日:00/04/22

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