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蔡倫 紙を発明した宦官

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蔡倫 紙を発明した宦官
蔡倫 紙を発明した宦官
(さいりん・かみをはつめいしたかんがん)
塚本靑史
(つかもとせいし)
[中国]
★★★☆☆☆

大長編小説が多い中で、あえて読みやすい中篇小説に着目した祥伝社文庫の戦略は興味深い。もちろん、確かな作家選びがあってこそだが…。『霍去病』などで注目の中国時代小説の気鋭の作品が収録されたのは嬉しい。

紙を発明した宦官として知られる、後漢の蔡倫を主人公とした中国小説。中篇小説の中に、蔡倫が紙を発明するまでの過程を描くとともに、蔡倫が関わりを持つことになル当時の政治情勢も織り込まれていて、スピード感を持って読める。ずっと塚本さんの作品を読んでみたいと思っていたので、ウォーミングアップとしては最適だった。これは、中篇小説の長所のひとつかも。

当時の政治状況も描いているので、学者の班固やその異母弟・班超(西域で活躍した将軍)なども登場して、興趣をそそる。また、宦官が王宮内で力を持っていくようになった背景もよくわかった。

物語●王宮内の図書館にあたる東観(とうかん)で、書物を一心不乱に読んでいた宦官・蔡倫は、背後から罵声をあびて、背中を突かれて、書物を取り落とした。この当時の書物は、綴じ紐でまとめられた、竹簡であった。怒りの主は、校書郎の学者の班固だった。班固は、後に、『漢書』を著したことで知られる…。

目次■なし

カバーイラスト:諏訪部博之
カバーデザイン:小泉孝司
時代:永平十八年(AD75年)
場所:後漢・洛陽、白馬寺ほか
(祥伝社文庫・381円・00/11/10第1刷・172P)
購入日:00/11/03
読破日:00/11/14

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