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日暮し同心始末帖 天地の螢

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日暮し同心始末帖 天地の螢

日暮し同心始末帖 天地の螢

(ひぐらしどうしんしまつちょう てんちのほたる)

辻堂魁

(つじどうかい)
[捕物]
★★★★

文庫書き下ろし。

小十人組旗本の三男ながら、二十三歳のとき、親戚中が反対する中で、「部屋住みでくすぶっているよりは、ましでしょう」と両親を説き、八丁堀の町方同心の家に婿入りした、北町奉行所平同心の日暮龍平(ひぐらしりゅうへい)を主人公に描く捕物小説「日暮し同心始末帖」シリーズの第四作。

「湯島の切通しも亀戸村堤も未だ探索中なのに、決着がついたのは龍平さんの掛だけだから、龍平さんは臨時のお役目なのにたいしたものだと、隠居仲間から褒められた。専従の廻り方より腕利きだとさ」
「たまたま、決着がついただけです」
「たまたまなものか。わが娘婿として鼻が高かった。わたしが思うに、龍平さんは難しい掛を命じられると却って生き生きしてくるね。厄介であればあるほど力を発揮する形だ。簡単な役目だと物足りなそうに見える」

(『日暮し同心始末帖 天地の螢』P.25より)

龍平の舅達広の言葉にあるとおり、同僚や上司から「日暮し」と侮られながらも、探索では抜群の腕利きぶりを見せるところが、このシリーズの魅力。地道な聞き込みや証拠固めを重ねて、犯人を追い詰めていくところがスリリングだ。

今回も、別々と思われていた三つの殺しが、一人の寺小姓をキーにつながっていく…。

主な登場人物
日暮龍平:北町奉行所平同心
麻奈:龍平の妻
俊太郎:龍平の息子
菜実:龍平の娘
日暮達広:麻奈の父で、龍平の舅
鈴与:龍平の姑
松助:日暮家の下男
宮三:口入れ稼業《梅宮》の主人
寛一:宮三の息子
吉弥:京風小料理屋《桔梗》の主人
お諏訪:吉弥の娘
永田備前守:北町奉行
福澤兼弘:北町奉行所筆頭与力
柚木常朝:北町奉行所詮議役筆頭与力
梨田冠右衛門:北町奉行所五番組組頭の年寄同心
花沢虎ノ助:北町奉行所与力
石塚与志郎:北町奉行所定町廻り方同心
春原繁太:北町奉行所同心
黒河紀重:公儀勘定組頭
深川の伝吉:辰巳の羽織芸者
司馬中也:南町奉行所同心
おかね:司馬家の下女
与平:司馬家の下男
尾嶋健道:御家人の部屋住み
三谷由之助:御家人の部屋住み
倉橋格之進:神田明神下の剣術道場清道館の道場主
輝川:寺小姓
石出帯刀:牢屋奉行
長谷部上総守:目付
岡野五郎次:南町奉行所同心
八木政七:新番衆の旗本
慈修:谷中の妙玄寺の高僧
孫兵衛:深川六間堀町の読売屋
煮売屋高島の亭主
弥右衛門:豊島村の百姓
相馬:元相撲取り
銅の勘右衛門:竪川筋の夜鷹の元締
伊左衛門:回向院裏大徳院門前町の相撲部屋年寄
島村欽八郎:小野派道場師範代

物語●両国川開きの大花火が終わって群集が去った後の薬研堀で、公儀勘定組頭が斬殺された。その前月には亀戸村堤で僧侶が殺され、さらに湯島切通しでは二人連れの御家人の部屋住みがともに殺害された。平同心の日暮龍平に、未解決だった湯島切通しの事件の掛を命じられた…。

目次■序 両国川開き/第一話 牢屋敷切腹検使/第二話 寺小姓/第三話 読売屋孫兵衛/第四話 江戸相撲/第五話 道行/結 愛しき人々

カバーイラスト:皆川幸輝
カバーデザイン:妹尾浩也
時代:文化十四年五月二十八日(両国川開き)
場所:両国橋、北町奉行所、亀島町、北島町、湯島切通し、新場橋、下谷練塀小路、神田竪大工町、小伝馬町牢屋敷、谷中、佐内町、深川六間堀町、油堀、豊島村、菊川、小野次郎右衛門屋敷、御竹蔵南側、ほか
(学研パブリッシング・学研M文庫・629円・2011/11/22第1刷・292P)
入手日:2012/04/25
読破日:2012/05/12

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