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人造記

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人造記人造記
(じんぞうき)
東郷隆
(とうごうりゅう)
[短編]
★★★★

東郷さんというと、最近は時代小説で活躍しているが、以前は007のパロディの「殺人丁稚・定吉シリーズ」など怪作を書いている。本書は、それらとはまた一味違う奇談ものを5編収録している。

5編は、舞台となる時代を平安時代末期から昭和のはじめまでとバラエティ豊かに書き分けていて、作者の力量を感じさせる。幕末を舞台にした「放屁権介」には、大坂西町奉行所与力内山彦次郎や近藤勇、桂小五郎らも登場して楽しい。

『人造記』は西行ものだが、火坂雅志さんの『花月秘拳行』のスーパーヒーローものとは、別の面が描かれていて興味深かった。

物語●「水阿弥陀仏」アル中の将軍義尚が招いた水阿弥とは…。「上海魚水石」海兵隊に入り上海に渡った石工が住む下宿屋の入口の路地がいつもビショビショに濡れていたのは…・「放屁権介」大坂で、天才屁芸人〔ひり出し権介〕がデビューした…。「蟻通し」“神狩り”合祀が促進する和歌山県で、南方熊楠は反対運動の先頭に立っていた…。「人造記」西行の事跡の中で、研究家の多くから荒唐無稽と切り捨てられてきた人骨から人をつくる話。

目次■水阿弥陀仏|上海魚水石|放屁権介|蟻通し|人造記|あとがき|解説 縄田一男

カバー:門坂流
解説:縄田一男
時代:「水阿弥陀仏」長享二年。「上海魚水石」昭和七年。「放屁権介」文久二年。「蟻通し」明治四十三年。「人造記」仁平元年

(文春文庫・437円・93/11/10第1刷、313P)
購入日:97/8/21
読破日:97/9/6

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