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七人の兇賊 わけあり円十郎江戸暦

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七人の兇賊 わけあり円十郎江戸暦七人の兇賊 わけあり円十郎江戸暦
(しちにんのきょうぞく わけありえんじゅうろうえどごよみ)
鳥羽亮
(とばりょう)
[剣豪]
★★★☆☆

久々に鳥羽亮さんの時代小説を読む。昔の読書録を整理していたら、ひところ、氏の得意とする剣豪ミステリをけっこう読んでいた。『七人の兇賊』は、「わけあり円十郎江戸暦」の第2作目。主人公の橘円十郎は口入れ屋に居候する牢人。直心影流の遣い手ながら、「わけあり」の身。

タイトルにある「わけあり」とは、主人公の円十郎が、陸奥国黒岩藩(架空)藩主、間鍋信濃守忠正の隠し子ということで付けられている。ちなみに母は柳橋の女中だったおよしで、部屋住み時代の忠正といい仲になった。およしは、町家で女手ひとつで、円十郎を育てる。円十郎が二十二歳のとき、労咳で亡くなり、その後は、口入れ屋の安田屋に居候として住むようになった。

さて、『七人の兇賊』は、江戸の町を震撼させる夜盗から店を守るために用心棒を請け負った、円十郎と馬淵重蔵、宇佐美又八郎の三人組に活躍を描く剣豪小説。相手は剣の遣い手の四人の武士を含む、七人組の兇賊。数的不利をどのように補い、対決するのかが見もの。

鳥羽作品で楽しみなのは、迫力ある剣戟シーン。今回も強力な敵を相手にチャンバラシーンがふんだんに盛り込まれている。とくに実力が伯仲している場合、数的不利が大きな危機を招くことが再認識できてリアリティを感じて面白い。

◇主な登場人物
橘円十郎:日本橋高砂町の口入れ屋・安田屋に居候している独身牢人。直心影流の遣い手
馬淵重蔵:円十郎の牢人仲間。巨漢でいかつい風貌ながら剣術の腕はからっきし
宇佐美又八郎:円十郎の牢人仲間。馬庭念流の遣い手
甚兵衛:安田屋の主人
お勝:円十郎の亡き母の妹で、安田屋の内儀
おふく:安田屋の一人娘。歳は十六
おせん:料理屋吉本屋の娘で、おふくの友達
山中小十郎:黒岩藩の御使番で、隠密組織・闇蜘蛛の一員
茂平:元岡っ引き。今は浅草寺の境内で三十八文店(小間物や子供の玩具、雑貨など三十八文均一の店)を出している
篠田屋庄右衛門:米問屋の主人
泉蔵:篠田屋の番頭

物語●江戸の町で、夜盗が押し入って奉公人を斬殺し、大金を奪うという事件が頻発していた。口入れ屋の安田屋に、浜町堀沿いにある米問屋の大店・篠田屋より用心棒を雇いたいという依頼があった。牢人の円十郎と馬淵、宇佐美の三人組が店に泊り込んで、用心棒をすることになった。円十郎たちが店の奥で寝泊まりするようになって五日目の夜、店を盗賊が襲った…。

目次■第一章 用心棒/第二章 襲撃/第三章 反撃/第四章 一刀流

装画:西のぼる
装丁:泉沢光雄
時代:天保年間(1830-1844)
場所:日本橋高砂町、浜町堀、日本橋鉄砲町、栄橋、浅草寺境内、深川今川町、蛤町、深川黒江町、深川佐賀町、六間堀町、万年町、日本橋小網町、神田平永町ほか
(PHP研究所・PHP文芸文庫・571円・第一刷2010/11/29・291ページ)
購入日:2011/09/10
読破日:2011/10/13

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