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紅塵

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紅塵紅塵
(こうじん)
田中芳樹
(たなかよしき)
[中国]
★★★★☆

「銀河英雄伝説」などのスペクタクルロマンでベストセラー作家としての地位を築いている、田中芳樹さんの中国もの。期待に違わず、雰囲気のある歴史ロマンになっている。伊さんの切り絵風の(宮田雅之さんを髣髴させる)のイラストが多数収録されていて、作品のビジュアルなイメージをよく伝えてくれていていい。

しかも時代的には、先日、読んだばかりの「耶律楚材」(陳舜臣著)より一世代前の、南宋が舞台になっているので、興味深く読めた。「水滸伝」のちょっと後の時代になるらしいのだが、この中国古典の名作を読んでいないので、基礎知識がなく苦手な時代でもあった。華麗なヒロインが出てこないのがちょっと残念、というと欲張り過ぎかな。華麗なヒロインが出てこないのがちょっと残念、というと欲張り過ぎかな。

黄塵は、黄河流域で、西北からの強風が大地の表面から土を舞い上げ、草を吹きちぎり、あたり一面を黄色く染めるものである。高橋義夫さんの作品に「黄塵日記」という歴史ミステリーがあった。本書のタイトルの「紅塵(こうじん)」は、乾いた地表の表面から幾億幾兆のこまかい塵が宙高く舞い上がって、落日の光を乱反射させて、深紅の円盤になって沈んでいったものをさす。また、紅塵は騒がしい世のことをいう。

◆主な登場人物
高宗:宋の皇帝
秦檜:宋の丞相
韓子温:抗金の名将・韓世忠の息子。名は彦直
梁紅玉:子温の母。女将軍
岳飛:宋の名将
欽宗:高宗の兄
虞允文:宮廷書記官
黒蛮竜:女真族の男
完顔亮:金の皇帝
阿計替:金の獄吏
完顔雍:金の皇帝の従兄弟物語●南宋の権力を一手に握っていた秦檜が死んだことから、歴史が動き出した…。
地方の役所へ飛ばされていた、抗金の名将・韓世忠の息子・韓子温も都・臨安府へ呼び戻され、皇帝の高宗からある秘命を与えられた…。

目次■第一章 江南冬雨/第二章 密命/第三章 黄天蕩/第四章 渡河/第五章 燕京悲歌/第六章 趙王府/第七章 莫須有/第八章 前夜/第九章 采石磯/第十章 長江無尽/解説 土山文子

カバーイラスト:伊丹シナ子
カバーデザイン:中原達治
解説:土山文子
時代:宋の紹興二十五年(1155)
場所:杭州臨安府、開封、燕京、成都
(ノン・ポシェット・562円・98/07/20第1刷・320P)
購入日:98/07/18
読破日:98/07/24

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