2023年時代小説SHOWベスト10、発表!

泣き菩薩

アドセンス広告、アフィリエイトを利用しています。
スポンサーリンク

泣き菩薩泣き菩薩
(なきぼさつ)
田牧大和
(たまきやまと)
[捕物]
★★★★☆

主人公は、十九歳の歌川広重。十三歳で父の跡を継いで、安藤重右衛門として、八代洲河岸定火消同心をつとめていた。絵は、十五歳で歌川豊広に入門し、まさに修業時代で、物語中にも写生をするシーンが描かれている。

童顔のために、仲間たちは「重坊」と呼ぶ。遠目が利いて、広く見渡せるだけでなく、木版で頭に刷り込みでもしたように、寸分違わず覚えてしまうなど、「良い目を持っていること。。

この物語の魅力は、重右衛門・信之介、五郎太の三人組がそれぞれ得意を生かして、チームワークよく活躍するところ。また、三人の上司で、火消与力の小此木もいい味を出している。

定火消屋敷のあった八代洲河岸は、馬場先御門のすぐ外に位置されている。火事の被害に遭う、玉円寺も光照寺も実在した寺であったのが、ちょっと意外。

主な登場人物◆
安藤重右衛門(若き日の歌川広重):八代洲河岸定火消同心で、歌川豊広門下の絵師・歌川広重
西村信之介:広重の同輩で八代洲河岸定火消同心。采配が正しく知恵者で、「八代洲河岸の孔明」とあだ名される
猪瀬五郎太:広重の同輩で八代洲河岸定火消同心。がっちりとした体躯の大男。
野崎:八代洲河岸定火消の物書き同心
諏訪主殿頭:八代洲河岸定火消の頭
小此木啓祐:八代洲河岸定火消与力。直心影流の遣い手
鉄次:八代洲河岸定火消の臥煙
昌三:八代洲河岸定火消の臥煙
哲正:光照寺の小坊主
森念:哲正の同輩
兼仁:光照寺の年長の修行僧
源蔵:材木屋播磨屋の人足頭
三左:仏師
忠吉:三左の弟子
宮沢:北町奉行所定廻同心
伊助:脚に彫り物のある掏摸
桑原:浪人
留八:錠前破り
小夜:手習い塾師匠
おゆい:染物職人の娘で、小夜の手習い塾に通う

物語●十九歳の安藤重右衛門は、十三で父の跡を継いで八代洲河岸定火消同心をつとめるかたわら、歌川広重の名で絵を描いていた。その広重が毎年花の頃になると、暇を見つけては桜の写生に通いつめた、組屋敷近くの玉円寺が、何者かに付け火で焼失する。
玉円寺の火事から二日後、市ヶ谷袋町の光照寺で小火騒ぎがあった。講堂にあった勢至菩薩像だけが妙な燃え方をしていた。広重、信之介、五郎太の定火消同心三人組は、火の不始末の濡れ衣を着せられた小坊主を助けるために、小火騒ぎの謎を追う…。

目次■泣き菩薩/解説 ペリー荻野

カバー装画:浅野隆広
カバーデザイン:柳川昭治
解説:ペリー荻野
時代:明記されず。文化十二年(1815)如月のころ。(寛政九年(1797)生まれの安藤重右衛門が数え十九歳の頃)か
場所:八丁堀玉円寺、八代洲河岸定火消組屋敷、八丁堀組屋敷、牛込袋町光照寺、江戸川石切橋、南鍛冶町、中ノ橋、御納戸町、ほか
(講談社・講談社文庫・581円・2011/12/15第1刷・278P)
入手日:2012/01/12
読破日:2012/01/15

Amazon.co.jpで購入