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藩と日本人 現代に生きる〈お国柄〉

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藩と日本人 現代に生きる〈お国柄〉

藩と日本人 現代に生きる〈お国柄〉

(はんとにほんじん・げんだいにいきる・おくにがら)

武光誠

(たけみつまこと)
[江戸入門]

勤務先で発行している会員情報誌『CAT』のインタビューに登場したのがきっかけで、著者に興味をもった。そのときは、日本人のルーツである、苗字と家紋について述べられていた。その気鋭の歴史学者による、藩の成り立ちとお国柄のルーツを論じる書。江戸時代の藩の特徴をつかむのに適した1冊。

人の性格を分析するときに、血液型と並んで、使われるお国柄。このお国柄に影響を与えたのが、江戸時代の藩単位の多様な文化であったらしい。

江戸時代の藩支配で最も重要だったものが、検地であったというのが、本書を読んでよくわかった。そこには、土地に根ざした土着パワーを検地によって無力化させ、その後で、藩のカラーを付けていく、その色がやがてお国柄になるといった図式が見られる。

読みどころ●古代より村(ムラ)という小さな共同体で生活してきた日本人は、江戸時代に藩を単位にまとめられた。明治維新以後、藩支配は一掃され、中央集権による全国支配で、均質的な社会が作られていった。こうした中で、我々のうちに、藩文化の遺産としてお国柄が残っていった。本書は、加賀(=日本最大の藩)、薩摩・津軽・松前(=辺境の藩)などを例に、様々なお国柄の成り立ちや人々の関わり合いを考察してゆく。

目次■はじめに|第一章 お国柄と江戸時代の藩(藩と幕藩制/国と藩/国衙から城下町/中世の家と藩/国持大名の地位/三つの地域と藩/藩成立の諸事情/幕府の大名統制/二重統治の実態/独自の文化をもつ藩ともたない藩)|第二章 織豊政権から藩の独立(藩の誕生とその役割/豊臣政権と藩/豊臣政権下の二種類の大名/太閤検地と大名/軍役と領内支配/辺境の大名/織豊取立大名/秀吉の国分け/兵農分離の上の新たな支配/大名の首のすげかえ/優雅な大名の京都生活/御恩と奉公/蜂須賀家の阿波入国/土豪との妥協/加藤家から細川家への交代/二〇〇余りの藩)|第三章 地縁にもとづく藩、もとづかない藩(藩の成立が生み出した地域性/甲斐の三つの地域/御牧と清和源氏/旧氏族の没落/武田家の国境警固/南部家の戦国大名化/中央政権への接近/小田原への散陣/佐竹家の秋田入り/秋田城の繁栄/米沢へ移った上杉家/名君、上杉鷹山/戦国大名、最上家/最上家から鳥居家に/天童家の没落/織田家の入国)|第四章 最大の藩、加賀一〇〇石(北陸の繁栄/前田利家の加賀入り/一二〇万石の領主になる/石川県人の気質/三万の前田勢/組と役/藩主と一向宗との対立/本願寺との強調をはかる/城下町の建設/豪商が支配する金沢の町/町年寄をつとめた人びと/産物方を通じた支配/改作法の施行/一〇〇万石文化の誕生/工芸の振興/九谷焼と輪島塗/独特のお国柄「加賀ッポ」)|第五章 岡山藩と庄内藩の藩政(宇喜多家の岡山支配/池田光政の登場/陽明学に立った統治/家臣の統制/岡山藩の農政/備前風の出現/江戸時代後期の岡山藩/小農の苦しみ/最上家の旧領と譜代大名/酒井家の発展/幕府にならった職制/検地と新田開発/庄内藩と戊辰戦争)|第六章 辺境の藩、薩摩、津軽、松前(鹿児島県人の気質/島津家の誕生/外城支配から戦国大名/九州制覇ならず/関ヶ原の敗走/軍役と土地制度/天保の改革と薩摩の近代化/安東家の繁栄/大浦為信の独立/弘前城の築城/松前藩の成立/松前藩の知行制度)|第七章 廃藩置県がもたらしたもの(藩から県に/近代国家へのみち/なぜ廃藩が可能だったか/版籍奉還の上表文/親兵を設置する/山県有朋邸の密談/廃藩置県の断行/県名と藩名/中央集権へ)|おわりに

装幀者:芦澤泰偉
(PHP新書・657円・99/10/04第1刷・205P)
購入日:99/10/16
読破日:99/12/11

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