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群雲、関ヶ原へ 上・下

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群雲、関ヶ原へ 上
群雲、関ヶ原へ 上・下
(むらくも、せきがはらへ・じょうげ)
岳宏一郎
(たけこういちろう)
[戦国]
★★★★☆☆

へそ曲がりなので、NHK大河ドラマには迎合しないという、スタンスでいたが、「葵 徳川三代」の初回の放送を見て、どうしてもこの本が読みたくなった。刊行当時から評判の高かった作品で、ずっと読む機会をうかがっていた一冊。

読み始めてすぐに惹き込まれた。関ヶ原の決戦の場に赴く武将たち(=群雲)の人物描写、行動描写が見事で、「さもありなん」と思わせる筆力はさすが。タイトルが付けられたそれぞれの章が連作ものの短編のような面白さがあり、時折ニヤリとさせるユーモアが散りばめられていてほっとする。家康や三成、景勝などの特定の側や人物だけに肩入れしていないために、読み味がいい。

物語●十六歳になったばかりの蒲生秀行が大領・会津を召し上げられ、下野・宇都宮へ移封を申し渡されたところから物語は始まる。太閤・秀吉の鉄槌により、92万石から18万石という厳しい削封が下された。会津は、奥・羽二州を抑える枢要の地であると大義名分ばかりでなく、一朝有事の際、関東の徳川家康を背後から刺し貫くという使命が与えられていた。
そして、新たに秀吉から、会津の地を与えられたのは、上杉景勝であった。家康にとって、景勝は重大な脅威であり、永遠の不可解であり、小さな魅惑であり、そういうもろもろの総和であった…。

目次■足音/悪縁/佐竹冠者/かぶき者/春雁/饗宴/邂逅/秀吉と家康/落陽/政局動く/夢のあと/倭人伝のくに/鬼上官/冬の伏見/客/ふたたび、客/綱をひく/遷都/黒髪/賭け/白いカラス/結婚/轍鮒の急/信長の恋/奔流/幸福な死/逃げる/飛翔/乗っ取る/帰国/陥穽/太陽/辣腕/蹉跌/財吏の嘆き/風雲/嗅覚/脱走/雲のように/人間模様/仮面/北へ/運の矢/安国寺/幸せな一日/毛利来たる/前夜祭(以上上巻)|不貞/悪戯/夢を食う/嘘/心変わり/旅人たち/帰郷/人なき森の如く/福島太夫殿御事/真田/運/反転/夏の湖/彦兵衛の城/嫡孫/九鬼/花/伊勢/美濃の二人/劫/竹ヶ鼻/焦燥/東部戦線/西へ/斑猫/南船北馬/秘密/誤算/二つの流れ/曲がり角/おごそかな誓い/決断/関ヶ原/緒戦/博物誌/恩寵/足を舐める/待ち合わせ/背中/転落/明暗/ふたたび、足音/参考文献一覧/解説 縄田一男(以上下巻)

カバー装画:中川惠司
解説:縄田一男
時代:慶長三年(1598年)
場所:伏見、大坂、佐和山、博多、大垣、関ヶ原ほか
(新潮文庫・各743円・98/01/01第1刷・上674P、下666P)
購入日:97/12/27
読破日:00/02/28

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