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無言殺剣 火縄の寺

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無言殺剣 火縄の寺無言殺剣 火縄の寺

(むごんさつけん・ひなわのてら)

鈴木英治

(すずきえいじ)
[剣豪]
★★★★

剣の腕は無類だが、一言も口を利かない謎の浪人と古河のやくざ郡兵衛一家の三男坊・伊之助の活躍を描く「無言殺剣」シリーズの第二弾である。片や過去をもつニヒルで無口な剣豪、片や純情ぶりとやさしさがらしからぬやくざの息子の二人が、不思議なことにお互いを認め合い思いやるところが何ともいい。剣豪小説の名手である鈴木さんの作品らしく、チャンバラシーンが面白い。とくに、謎の浪人、音無黙兵衛(無口なので伊之助が便宜上付けた名前である)が、掟破りなほど強いのが面白い。1対多の闘いで、多勢に無勢ということがなく、完膚なきまでに相手を倒してしまうのである。

前作が伏線となり、謎の浪人の命が何者かに狙われるのだが、ただ、狙っても倒せないので、敵は卑劣な手を使うのだが……。今回は、伊之助の兄弟が登場したり、黙兵衛が江戸での住まいとする寺の住職として休雲と美人の娘初美が彩りを添えたりして、物語の興趣を盛り上げてくれる。敵役(荒垣外記)がスケールアップして、主人公(黙兵衛)の強さを引き出してくれるのもいい。面白い剣豪小説の登場である。

ブログ◆
2006-05-15 謎の浪人とやくざの三男坊、江戸へ出る

物語●関宿城主・久世豊広を斬殺した謎の浪人・音無黙兵衛は、古河のやくざ一家の三男坊の伊之助を伴い江戸へ出る。伊之助は、江戸でやくざ見習中の兄、作兵衛と伝之助の二人に再会する。しかし、三兄弟の背後には、黙兵衛に大切な人を殺され、復讐を誓い命を狙う何者かの罠が迫る……。

目次■第一章/第二章/第三章/第四章

カバー立体切り絵:百鬼丸
カバーデザイン:百鬼丸/新井健民

時代:明記されず
場所:千住宿、小塚原町、下谷、中渋谷村、市ヶ谷田町、鮫ヶ橋谷町、四ツ谷忍町、古河、麹町、四ツ谷伝馬町、湯島六丁目、芝森元町、麻布桜田町、日本橋、ほか

(中公文庫・648円・2006/03/25第1刷・305P)
購入日:2006/05/08
読破日:2006/05/15

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