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怒濤のごとく 上・下

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怒濤のごとく 上

怒濤のごとく 上・下

(どとうのごとく・じょうげ)

白石一郎

(しらいしいちろう)
[中国]
★★★★☆☆

<海洋時代小説の第一人者、白石さんの久々の中国もの。主人公は、日明混血児で、国姓爺(こくせんや)と呼ばれた鄭成功。彼は、建国の祖として、民族の英雄として、現在の台湾、中国の双方でその評価は高い。近松の戯曲で描かれたほか、日本との関わりも深い。

あとがきによると、作者は太閤記などのように、史上の英雄を、誕生から死亡まで書き通すという物語としてもっとも素朴な手法で、読者に喜んでもらうことを考えたという。歴史エンターテインメントとして大いに楽しめた。

作者お得意の海洋シーンが圧巻であったほか、意外なことに当時の明の試験制度が詳しく描かれていて興味深かった。

物語●1624年、落日の平戸の浜で、日中混血の運命の子・鄭森(後の鄭成功、日本名田川福松)が生れた。母は日本人医師田川七左衛門の娘・マツ、父は明国人の海賊の幹部・鄭芝龍。動乱の東アジアの海を舞台に、鄭芝龍・成功親子の活躍が始まる…。

目次■夕日の子/海上王/平戸/飛虹将軍(以上上巻)/南京の嵐/鄭成功/思明州/遠征/台湾海峡/あとがき(以上下巻)

装幀・画:西のぼる
時代:寛永元年(1624年)
場所:平戸、台湾南港、福建省泉州、南京ほか
(毎日新聞社・各1,500円・98/12/25第1刷・上340、下319P)
購入日:98/12/27
読破日:99/01/10

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