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新撰組 上・下

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新撰組 上
新撰組 上・下
(しんせんぐみ)
白井喬二
(しらいきょうじ)
[伝奇]
★★★☆

通勤時に読みはじめてから読了まで1ヵ月かかった。講演で向井敏さんが、昔の大衆小説の文体は読みにくいというようなことを話しておられた。本書を読んで痛感した。リズムになかなか乗れず、ページを繰るスピードがでないのだ。

作者の白井さんは、解説によると「大衆文学」の名付け親らしい。文体はともかく、ストーリー展開の奔放さと、剣ではなく独楽試合での解決がすべてという着想の面白さはユニークだ。作品の書かれた同時代に読んでいたら、数倍熱狂できたであろう。

新撰組(選ではなく撰を使ったのは、当時どちらの字も同じくらいに使われたことと、字のもつイメージからつけたらしい)とタイトルを付けながら、近藤勇や土方歳三らが主でないのが画期的だ。

物語●但馬流独楽師・織之助と金門流名人・紋兵衛が、芸の意地と美女をかけて、秘術の限りを尽くして対決する独楽試合の勝負の行方は? 幕末の逆巻く怒涛の中をたくましく生き抜く若者の数奇な運命を描く大長編。

目次■名人長屋の独楽作り甕八/樹上の猿、樹下の侍/鎌石策之進の来意/懸想された女の犠牲談/井伊大老牛角の建白書/近江屋お蝶の紅涙/紋兵衛と織之助対面/烈火山上国危うし/独楽作りの苦心/晴れた勝負の朝は来た/時刻太鼓に売った両独楽/美人駕籠と斬込隊/江戸にもあった天誅組/平和境小梅村の波乱ごと/白魚祭は嬉し江戸帰参/お香代捜しの織之助/芸道は死よりも強し/宿命肉独楽の予言/常盤御門に月が出た/東海道五十三次の恋旅/京の伏見流潤吉の屋敷/独楽も奇遇人も奇遇/恋の打明けいずれが早い/闇中に打つ十八番の曲投げ/精進つくした京独楽(以上上巻)|但馬流か伏見流か/転げ落ちた刹那/櫛挽小屋にゆらぐ灯影/二人の不幸者と一人の幸福者/新徴組二百三十三人京へ/比叡山中の他流試合/霧の中にひびく捕手太鼓/鳩より得たる物/天に向かって生きる願い/島原遊郭のおもちゃ猫/近江屋お蝶の時勢のことば/桜井畷手のなぐり込み/変化したこの人生/新撰組の名が生まれた/近藤勇と本願寺の大砲/下鴨明神境内に剣のひびき/新撰組に斬りこむ男/お香代のありか訪ねて/尼寺に花は吹雪く/この世に咲くお香代/男性婆さん東条ちよ女/東西南北縁決め独楽/朗々とうたう謡曲蝉丸/巻末エッセイ 白石一郎/人と作品 木村行伸(以上下巻)

デザイン:菊地信義
時代:安政五年
舞台:浅草お歯黒溝、館山、小梅村、京・二条城側、比叡山中、桜井村、黒谷、三条小橋ほか。
(講談社大衆文学館・各816円・各95/3/17第1刷・上428P、下418P)
購入日:97/3/21
読破日:97/12/14

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