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忍者からす

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忍者からす
忍者からす
(にんじゃからす)
柴田錬三郎
(しばたれんざぶろう)
[伝奇]
★★★☆☆

柴田さんの忍者ものというと、快作『赤い影法師』があげられる。本作にもチラッと「影」の名が登場するのが嬉しい。こちらは、忍びの血を受け継ぐ「鴉」一族の伝奇を連作形式で綴るスタイルをとっている。

一休さんの巻が面白い。蜷川新左衛門が登場し、昔のTVアニメ(アニメでは蜷川新右衛門だったような気がする)を思い出し懐かしかった。また、蜀山人(何となく文化人臭くて嫌いな人なのだが)と怪盗・自来也との関わりが描かれる巻も、着想が面白かった。

とにかく、「鴉」の血が歴史を変えるというテーマで、どのように歴史と関わったかが見もの。ただし、時代が進むにつれて、その血を受け継ぐものが卑小化してしまうのは、血の鈍化なのか、残念。

物語●類稀な秘術を備えた異形の容貌の忍者「鴉」。貴人や天才の血を加え、脈々と受け継がれていく「鴉」の血。時代の変わり目に、事件の背景に、著名人の後ろに、すべて「鴉」の血に塗られた狂気の技があった。室町南北朝から江戸末期まで、五世紀にわたる天才忍者の暗躍を描く伝奇小説。

目次■忍者からす/一休禅師/山中鹿之介/塚原卜伝/丸目蔵人/由比正雪/幡随院長兵衛/蜀山人/国定忠治/解説 清原康正

カバー装画:鴇田幹
時代:元中三年。嘉吉元年。天文十三年。元亀元年。慶長八年。天保七年
舞台:熊野・太地。鹿島ほか。
(新潮文庫・476円・97/12/1第1刷・349P)
購入日:97/12/6
読破日:97/12/25

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