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眠狂四郎無頼控(一)

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眠狂四郎無頼控(一)眠狂四郎無頼控(一)
(ねむりきょうしろうぶらいひかえ1)
柴田錬三郎
(しばたれんざぶろう)
[伝奇]
★★★★☆

説明がいらないような著者の代表作。しかも、解説の遠藤周作さんが作品の魅力を絶妙に分析されていた。要約すると、
1.現代人の感覚とタイミングにマッチしている。
2.小説の場面とその構成が刺激的にできている。
3.大衆小説の本質的な条件をみな持ち合わせている。
その本質的な条件とは、
イ.「宝物探し」の要素があること
ロ.狂四郎が現代的感覚の強さをもっていること
ハ.あぶな絵趣味が現代的であること
ニ.狂四郎を除く副人物が他の読みなれた大衆小説のおなじみの人物に似ていること

狂四郎は、思っていたほど虚無的非人間的なヒーローではなく、悩みをもち、痛みを知る好漢であった。それはうれしい誤解であり、シリーズを続けて読みたくなった。それにしても、柴錬さんは章のタイトルの付け方が絶妙だな。いずれも読む気をくすぐる。

物語●素浪人・眠狂四郎は、掏摸の金八を手下に御老中水野越前守忠邦の上屋敷に押し込んだ。そこで、金八はお小直衣(このうし)雛という内裏様を盗み、狂四郎は奥女中、美保代を犯した…。実は、美保代を若年寄林肥後守のはなった密偵であると疑った、忠邦の側頭役武部仙十郎が、狂四郎を使って、その正体を暴くためにとった苦肉の策だった。

目次■雛の首/霧人亭異変/隠密の果て/躍る孤影/毒と柔肌/禁苑の怪/修羅の道/江戸っ子気質/悪魔祭/無想正宗/源氏館の娘/斬奸状/千両箱異聞/盲目円月殺法/仇討無情/切腹心中/処女侍/嵐と宿敵/夜鷹の宿/因果街道/解説 遠藤周作

カバー:中尾進
解説:遠藤周作
時代:文政十二年(1829)
場所:飯倉新町、今川町、渋谷、押上村、吉原、猿江裏町、相模愛甲郡飯山ほか。
(新潮文庫・590円・60/08/31第1刷・00/01/30第59刷・431P)
購入日:00/03/04
読破日:00/03/15

『眠狂四郎無頼控(一)』(柴田錬三郎・新潮文庫)