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幕末「住友」参謀 広瀬宰平

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幕末「住友」参謀 広瀬宰平
幕末「住友」参謀 広瀬宰平
(ばくまつすみともさんぼう・ひろせさいへい)
佐藤雅美
(さとうまさよし)
[経済]
★★★★☆

「住友」の近代化の礎を築いた男を主人公とした幕末小説。捕物小説で活躍されているが、歴史経済小説の名手でもある、佐藤雅美さんの作品で期待感大。

金や銀でなく、銅がこれほど、江戸から明治にかけて重要な資源であったと、この本を読むまで知らなかった。鎖国後もオランダとの貿易が継続できた理由、そして幕末に欧米列強の属国になることなく、明治期に近代化を実現できた要因の一つに、銅の存在があったというのは注目すべき視点だ。

本書は幕末から明治にかけて、大財閥「住友」を支えたワンマン経営者・広瀬宰平を描いた歴史経済小説。「別子銅山の産銅量と損益」「住友の御用銅買上価格」など、グラフや図を使用して、具体的な数字を挙げてわかりやすく解説している。巨額な借金、幕府や新政府との交渉など、度重なる危機に際して、敢然の立ち向かう宰平の姿に一流の経済人としての在り方が見られ、小説としても魅力的な作品。

物語●明治維新まであと二十三年という、弘化二年に、見なれない二人の武士が、道案内人を先に立て、別子銅山を目指した。別子銅山は、伊予(愛媛県)の別子山村にあり、二人の武士は峻険な山道を這うようによじ登り、標高千二百九十四メートルの、“銅山越え”を越えてやって来た幕府の隠密だった。別子銅山は天領(幕府の直轄地)で、山師(民間の鉱山業者)である住友が幕府から鉱業権を取得して銅を掘り出していた。幕末から明治にかけて住友を支えた広瀬宰平は、このとき十八歳で、手代として銅山付役人の鈴木武平宅に詰めていた…。

目次■隠密/条件闘争/密命/汐見橋の出会い/復権/抜擢/両全仕法/米騒動/幕府崩壊/土佐の陰謀/銅山売却/銅山再生/引退/文庫版へのあとがき

カバー装画・装丁:蓬田やすひろ
時代:弘化二年(1845)五月。
場所:別子銅山、川之江、立川村、新居浜、大坂島之内鰻谷、豊後町、道頓堀、尼崎一丁目、汐見橋、金子村久保田、京・土佐藩邸、岩倉具視邸ほか
(学陽書房人物文庫・780円・03/11/20第1刷・335P)
購入日:03/12/29
読破日:05/03/19

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