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下駄貫の死 鎌倉河岸捕物控

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下駄貫の死 鎌倉河岸捕物控

(げたかんのし・かまくらがしとりものひかえ)

佐伯泰英

(さえきやすひで)
[捕物]
★★★★

「鎌倉河岸に住む若者たちの青春群像を描く『鎌倉河岸捕物控』シリーズ第7弾。おなじみのレギュラー登場人物の死を暗示させるショッキングなタイトル。

大好評のこの捕物シリーズは、今回、新展開を見せる。松坂屋の隠居松六の古希の祝いのシーンから始まる。松六は、金座裏の親分九代目宗五郎に頼まれて、松坂屋の手代だった政次を後継者として譲った件について、その行く末がきになるところ。政次は金座裏の手先として、神谷道場の目録を授かるほど精進し、捕物でも手柄を立て、周りも認める存在になっていた。物語は、その政次の十代目襲名に向かって進んでいく。

盗賊の引き込み女の殺害をめぐる事件、政次や亮吉の幼なじみで船頭の彦四郎が勤める船宿・綱定の女将おふじの危難、古碇盗難事件、宿場町で頻発する少年グループの非行など、金座裏の宗五郎と手先たちは、次々起こる事件解決に向けて東奔西走する。その一方で松坂屋の隠居松六らのサブキャラクターたちによる伊香保湯治旅が描かれる。牧歌的な中で、事件解決の伏線があったりして、目が離せない。

幼なじみの仲良しグループ(政次、亮吉、彦四郎、しほ)が、今後、どのように友情を築いていくのか、次なる展開がとても気になってきた。

江戸の名代の毛抜き屋で、現在も刃物の老舗として、東都のれん会にも加盟している、人形町のうぶけやが「第三話 古碇盗難の謎」に登場している。作者の江戸の名物を現在に伝えようという志を支持したい。

物語●松坂屋の隠居松六は、女房のおえい、豊島屋の女房とせ、金座裏の宗五郎の女房おみつ、豊島屋で働くしほらと、上州・伊香保に湯治にでかけることになった。一行の見送りに戸田川の渡しに向かった金座裏の宗五郎と手先の政次、亮吉らは、そこで女が数人の男たちに襲われ刺殺されるという事件に遭遇する。お店の下女か飯炊き風の女が、虫の息の下で「く、くらまえ……」と言い残して亡くなった…。

目次■序章/第一話 引き込みおよう/第二話 綱定のおふじ/第三話 古碇盗難の謎/第四話 下駄貫の死/第五話 若親分初手柄/終章

装画:浅野隆広
装幀:芹澤泰偉
時代:寛政十一年(1799)晩秋
場所:板橋、戸田川土手、鎌倉河岸、麹町三丁目、金座裏、南新河岸、浅草広小路、海辺新田、伊香保、深川永代寺、深川蛤町、佃島ほか
(ハルキ文庫・667円・04/06/18第1刷・04/07/08第2刷・299P)
購入日:04/07/07
読破日:04/07/09

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