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江戸は廻灯籠

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江戸は廻灯籠
江戸は廻灯籠
(えどはまわりどうろう)
佐江衆一
(さえしゅういち)
[市井]
★★★★☆☆

昔TVで深夜に観た、1着の礼服がいろいろな人々の手をめぐりめぐって、一連のドラマを紡ぐというオムニバス形式のフランス映画を思い出した。監督はジュリアン・デヴィヴィエだったと思う。

で一つの作品の脇役やちょっとした風景が次の作品では主役や主な風景になる小説、「あとがき」で作者は連鎖小説または円環小説と名付けている。まさに廻灯籠である。作者の類稀な職人的な腕の冴えとエンタテイメント気質を見せた作品である。

また、各話ごとに主人公が異なることにより、市井人情ものだったり、剣客ものだったり、はたまた鬼平を彷彿させる盗賊ものだったりと、いろいろな種類の時代小説が一冊の中で味わえるお得な一冊。

物語●屋根職人の留八は、新築の隠居所の屋根仕事をしていたが、頭の中は、苦境にある倅を救うために五十両の算段にとらわれっていた。留八の倅、吉蔵は呉服屋に奉公して番頭になっていたが、店の金に手をつけたという…。
屋根職人、剣士、銀細工師、盗賊、目明し、大店の隠居…。八百八町の片隅で懸命に生きぬく人々を鮮やかに描く、連作短篇集。

目次■縁の五十両/落花一輪の剣/いぶし銀の雪/いぬふぐり/千住大橋五月闇/風の鬼灯/老木の花/あとがき

装画:東啓三郎
装丁:熊谷博人
題字:佐江衆一
時代:文政のはじめ
舞台:元鳥越、小梅町、根津門前町、不忍池之端、三味線堀、道灌山ほか
(講談社・1600円・97/5/25第1刷・269P)
購入日:97/10/3
読破日:98/1/11

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