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影武者徳川家康 上・中・下

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影武者徳川家康 上影武者徳川家康 上・中・下
(かげむしゃとくがわいえやす)
隆慶一郎
(りゅうけいいちろう)
[戦国]
★★★★☆☆ [再読]

文庫化される前に読んでいるから、7、8年ぶりの再読になる。初回は、とにかく隆慶一郎さんの独自の史観(もとは網野善彦さんの史学の影響)からくる、奇想天外なストーリー展開と、家康と秀忠の対立の妙に圧倒されたが、今回は2回目ということで、ディテールの巧さに眼がいった。

全三巻各500ページを超えるボリュームの中で、だれることなく緊張感を維持させながら結末まで少しの破綻もなく、もっていく筆力は凄い。

家康に代表される「いくさ人」たちの、事に当たっての対処の見事さを感動的に描いている。これは、太平洋戦争に出征し、その中で、「葉隠」を読んでいた隆さんならではものか。それに対比して描かれる秀忠には、戦争を知らない世代の傲慢さ、矮小さ、脆弱さを表出させているようで、いろいろ考えさせられる。

この作品の面白さは、敵役が失敗にめげずに、むちゃくちゃにしつこいからかもしれない。

ドラマ化するなら、秀忠は西村雅彦さんにやってもらいたい。

物語●慶長五年の関ケ原の合戦。その緒戦で、家康は島左近配下の武田忍び・六郎に暗殺された! 家康の死が漏れると、徳川家による天下統一はなくなる。徳川陣営は苦肉の策として、影武者・世良田二郎三郎を家康に仕立てる…。
しかし、この影武者、ただ者ではなかった。かつて一向一揆の軍勢の中で信長を撃ったことがある「いくさ人」であった…。

目次■上巻 関ケ原/大津城/敗者/異邦人/伏見城/江戸/源氏の長者|中巻 千姫/変転/大御所/駿府/偃武|下巻 大坂和平/反撃/キリシタン禁令/大坂冬の陣/大坂夏の陣/終焉/あとがき/解説 縄田一男

カバー装画:西のぼる
解説:縄田一男
時代:慶長五年(1600年)九月十五日
場所:関ケ原、大垣、伏見、江戸、駿府、大坂ほか。
(新潮文庫・上667円・93/8/25第1刷・97/8/15第14刷・544P、中667円・93/8/25第1刷・94/11/5第7刷・564P、下629円・93/8/25第1刷・97/8/15第12刷・535P)
購入日:98/1/3
読破日:98/2/10

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