青嵐吹く 御算用日記


青嵐吹く 御算用日記
(あおあらしふく ごさんようにっき)
六道慧
(りくどうけい)
[武家]
★★★★☆

文庫書き下ろし。

少し前に出た時代小説だが、読み始めてみたら面白かった。食わず嫌いはいけないなあ。

加賀藩では勘定方を御算用者と呼ぶ。その代表は、磯田道史さんのベストセラー『武士の家計簿』に登場した猪山家。百万石の藩を運営するには、経済知識が不可欠といったところで、御算用者を重用していたのもよくわかる。

さて、本シリーズの主人公生田数之進は加賀藩の御算用者だったが、姉たちの作った多額の借金を返済するために、幕府の隠密となる。そして、密命を受けて、経済状況に問題がある藩に潜入するという設定。

両親を亡くし、母親代わりの長姉の伊智に育てられた数之進は、姉たちには頭が上がらない。次姉の冨美は「綺麗な着物が着たい、たくさん着物がほしい」という着道楽、末姉の三紗は「美味しい物が食べたい、わたくしはお腹いっぱい、各国の珍味が食べたい、苦しくて動けなくなるまで食べたい」という食道楽。二人の姉が作った借金が三百五両!

御家騒動ものに算盤侍を絡めたところがミソで、物語の興趣が広がった。数之進の跡を追う形で、江戸に出てきた冨美と三紗とのやり取りが面白い。二人の姉が、江戸での生活を満喫するために、数之進にもっと稼げと迫るシーンがブラック。

七日市藩主前田利和は実在の十代藩主。

主な登場人物
生田数之進:御算用者
伊智:数之進の一番上の姉
冨美:数之進の二番目の姉、着道楽
三紗:数之進の三番目の姉、食道楽
早乙女一角:武芸十八般の側小姓
黒沢新之助:渡り小姓
彦右衛門:絵双紙屋『にしき屋』の主で、大屋
りく:彦右衛門の女房
鳥海左門:『夜鴉左門』と呼ばれる隠居
村上杢兵衛:徒目付組頭
景近:両目付。大名家と旗本の両方を監察できる特別な御役目
勘定頭:数之進の上司
前田利和:上州甘楽郡七日市藩藩主
前田利以:七日市藩の先代藩主で大殿
島田外記:七日市藩江戸家老
北川:蚊帳と畳表を手広く日本橋の大店で江州商人
松平信明:『寛政の遺老』と呼ばれる老中

物語●元加賀藩の勘定方で優れた才覚をもつ生田数之進は、姉たちが作った多額の借金のために、幕府御算用者となる羽目になった。そして、加賀前田家の支藩で、一万石の上州七日市藩にもぐりこむことに…。

目次■序章/第一章 夜鴉左門/第二章 女難の相/第三章 入れ子の悪夢/第四章 水濁れば/第五章 隠し吹き/第六章 野分/第七章 綾錦の華

カバー:村上豊
時代:文化七年(1810)二月
場所:日本橋、七日市藩上屋敷(半蔵門外)、越後屋、ほか
(光文社・光文社文庫・571円・2005/03/20第1刷・2009/07/10第4刷・337P)
入手日:2012/05/18
読破日:2012/05/21

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