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螢の舟 平七郎御用控

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押川國秋

(おしかわくにあき)
[捕物]
★★★☆☆

1999年に『十手人』(講談社文庫)で、第10回時代小説大賞を受賞した書き下ろし最新文庫。

旧字体を使用しているために、インターネット書店の検索に引っかかりにくい作品と著者である。

主人公の横川平七郎は、五十二歳で、剣は伊庭心形刀流で、少年の頃から御徒町の道場に通っていて「下谷の小天狗」と呼ばれるほどの腕前であった。なぜまだ若いのに臨時廻りになったかといえば、長男が無足の見習いにでることになったので、自分から定町廻りを退いたのである。二年前に妻をなくし、気楽なやもめ暮らしをしている。臨時廻りは、友軍としての機能を持ち、人員は定町廻りと同じながら仕事の融通が利いた。年齢も五十代、六十代で、定町廻りの控としての役割も果たすことがあれば、長引く事件や面倒な事件などにも関わっている。

清濁併せ呑む、人情味あふれる同心、横川平七郎と 岡っ引にしては表裏がなく性格も直線的な三十男の勘次のコンビが難事件に挑む連作捕物。大工殺しや連続放火、岡場所の付け馬殺しの事件解決から、心中や仇討の後始末まで、さまざまな事件に絡んでいく。その一方で、「ふん、五十面下げてだらしのねえ」と自嘲しながらも、武家の妻女志津に惹かれていく平七郎と、母親を亡くしたばかりで天涯孤独になった娘・お妙に惹かれていく勘次の二組の恋模様を描いていく。

この物語の背景に、川越藩、庄内藩、長岡藩の三方入れ替えの転封が絡んでいた。

物語●中ノ橋の袂で人だかりがし、橋の東岸から三十前の男の死体が引き上げられた。土左衛門の男は腹をひと突き抉られ、それが致命傷だった。男は川越から働きに来ていた大工で、博打が飯より好きというろくな男でなかった。南町奉行所臨時廻り同心・横川平七郎は、大工殺しの犯人を追って、花川戸河岸から川越行きの高瀬船に乗った。平七郎は、その船の乗客で川越藩藩士の妻女のように見える二十半ばの美しい女性に心を奪われた…。

目次■第一章 螢の女/第二章 裏切り/第三章 紅い手絡の娘/第四章 三ノ橋心中/第五章 おんな仇討

カバーイラストレーション:村上豊
カバーデザイン:長谷川正治
時代:天保十二年三月。
場所:浅草、神田旅籠町、中ノ橋、霊岸島町、三四の番屋、明神下、新材木町、杉の森新道、花川戸、千住河岸、新河岸川、松井町、蛇木河岸、木挽町三丁目ほか
(廣済堂文庫・600円・04/07/01第1刷・268P)
購入日:04/07/07
読破日:04/07/20

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