怨讐の旅路 浮世の同心 柊夢之介 [弐]


怨讐の旅路_浮世の同心 柊夢之介〈2〉 (ポプラ文庫)
怨讐の旅路 浮世の同心 柊夢之介 [弐]
(おんしゅうのたびじ うきよのどうしん ひいらぎゆめのすけ2)
野火迅
(のびじん)
[捕物]
★★★★

文庫書き下ろし。

優男で心極流小太刀術を得意とする、北町奉行所本所深川方の定廻り同心の柊夢之介が活躍する捕物シリーズの第2弾。

本シリーズの作者の野火さんは、『使ってみたい武士の日本語』で知られ、江戸語に造詣が深い。本シリーズでは、その江戸言葉が随所に織り込まれていて、慣れていないと戸惑い、読書のスピードも出ないかもしれないが、慣れてくると江戸の人の口舌が堪能できる。

 間抜けなことを言う新八を、夢之介が横目で軽く睨んだ。
「べらぼうめ、こんなものを置きっぱなしにするのは、御陀仏になったほうに決まってるだろうよ」
 言いながら、新八の手から羽織をさらった。
 
(『恩讐の旅路』P.26より)


「なある。おれは、とんだ安本丹だったってえわけだ」

(『恩讐の旅路』P.59より)


本所深川で見つかった二件の首無し死体。探索を進めた夢之介は、正式な仇討ちを主張する高田藩の足軽川村杢兵衛が一刀のものとに斬り斃し、首を切り離したものであることが判明する。杢兵衛は、高田藩主の書判のある敵討の証文を持っていたが、敵討の届出は公儀(奉行のもと)には出されていなかった。事件の真相を求めて、高田藩へ旅立つ夢之介。

奇怪な仇討ち事件の真相を追う夢之介の探索ぶりと、後半ではチャンバラシーンが楽しめるエンタメ捕物小説。

主な登場人物
柊夢之介:北町奉行所本所深川方の定廻り同心
柊右衛門:夢之助の父
お菊:柊家の通い女中
権助:柊家の小者
蔵六:夢之介から手札をあずかる岡っ引き
猪助:蔵六の下っ引き
新八:紙くず屋で、蔵六の下っ引き
尾形兵庫:南町奉行所同心で、夢之介の竹馬の友
松五郎:兵庫から手札を授かっている岡っ引き
文吉:松五郎の手下
田原権左:吟味方と市中取締掛を兼務する与力
井上益次郎:無足見習い同心
池辺千里:北町奉行所定周り同心
小田切土佐守:北町奉行
鬢八:深川佐賀町の髪結床「うきよ」の親方
政次:大工
徂徠派の儒学者
音吉:貸本屋の手代
留蔵:歯磨き売り
川久保又左衛門:六千石の旗本
川久保三樹次郎:又左衛門の次男で十八歳
大月勘解由:大番衆をつとめる旗本
大月主馬:勘解由の次男
小野高胤:小野派一刀流「玄武館」の道場師範
松平大吾:上田松平伊賀守の次男坊
お園:水茶屋「空蝉」の茶汲み女
川村杢兵衛:越後国高田榊原家足軽
お糸:杢兵衛の妻
相馬一平太:杢兵衛の実兄で、剣術道場「興道館」の助教
天谷東吾:「興道館」の門弟
金本彦九郎:天谷家の家人で、林崎夢想流の遣い手
神谷外記:越後国高田榊原家留守居役
木継長義:留守居添役
調所秀宗:城代家老
伊東衣太郎:秀宗の家臣
佐分利信之丞:上田松平家の表目付
追分宿旅籠「信濃屋」のあるじ
塚本左内:小諸牧野家浪人
高田城下旅籠「樽木屋」のあるじ
勝目揣摩:上田松平家御側御用人
おしづ:深川富久町の三味線師匠

物語●本所の竪川沿い材木置き場で、果し合いの末に、首を切り取られた死体が見つかった。その二日後に今度は墨堤の桜木の根元で同じような首無しの死体が見つかった。
夢之介が探索を始めるとすぐに、二つの死体は、六千石の旗本の次男の川久保三樹次郎と、大番衆の次子大月主馬であることが判明する。ともに、城下で最も苛烈な鍛錬を施すと聞こえる「玄武館」の次席だった。
探索をさらに進めると、両人を一刀のもとに斬り斃したのが越後高田藩の足軽・川村杢兵衛にたどり着くが、杢兵衛は正当な仇討ちを主張する…。

目次■第一章 越後から来た侍/第二章 遠征/第三章 碓氷峠の決闘/第四章 十三人の刺客/第五章 乱心

カバーイラスト:瀬知エリカ
カバーデザイン:モリサキデザイン
時代:文化五年十月
場所:追分宿、平川天神内、深川佐賀町、一ツ目之橋付近、尾上町、墨堤、赤坂御門付近、溜池の畔、筋違橋御門内、深川佐賀町下之橋、高田榊原家上屋敷、北町奉行所、刎石山、高田城下、深川一色町、碓氷峠、小梅村、ほか
(ポプラ社・ポプラ文庫・620円・2011/08/05第1刷・335P)
入手日:2012/07/17
読破日:2012/07/21

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