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蝦夷国まぼろし 上・下

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蝦夷国まぼろし 上

蝦夷国まぼろし 上・下

(えぞこくまぼろし)

夏堀正元

(なつぼりまさもと)
[蝦夷]
★★★★☆

蝦夷を舞台にした時代小説が好きだ。過酷な天候と人間の闘い、アイヌとの愛憎劇が大自然の中で描かれ、一時、都会の喧騒の中から逃避できるのがいい。

『蝦夷国(えぞこく)まぼろし』の作者の夏堀さんは、小樽市生まれで、新聞記者出身である。そのせいか、北海道に対する思い入れが感じられ、その眼差しが温かい。蝦夷を舞台にした時代小説は、いくつかあるが、中期以降を描いていることが多い。この作品では元和から寛永にかけての江戸初期ということで、そこに描かれている松前藩の歴史自体も興味深いものになっている。

主人公の和久内進六は、父が敵持ちのために、故国を離れ百姓や町人として育ちながら、師の儒学者堀江諒斎の勧めと、志本勘太夫の引き立てで、松前藩の下級藩士として取りたてられることになる。その前向きに困難に立ち向かい、真摯に生きていく姿が魅力的だ。

松前藩の歴史、アイヌの風俗、切支丹の迫害、当時の蝦夷国の様子がロマン豊かに描かれる快作。

物語●徳川幕藩体制下の蝦夷国松前藩は、砂金発掘とアイヌ、赤蝦夷(ロシア)、韃靼との密貿易で賑わいをみせていた。とくに大千軒岳に、砂金が発見され、数万人の金掘りがやってきて、ゴールドラッシュの様相を呈していた。徒士目付頭・志本勘太夫配下の和久内進六は、盗掘取締りの任にあたるが、金山には切支丹信者や浪人が流れ込み、任務は困難を極める。下級藩士の眼から見た松前藩の歴史を壮大なスケールで描いてゆく…。

目次■第一章 砂金の燦めき/第二章 異形の人/第三章 魔の山/第四章 騙し討ち/第五章 曙光/第六章 北前船/第七章 潜入者/第八章 地蔵の眼/第九章 地図のない国/第十章 探検への道/第十一章 大乱発す/第十二章 迫る危機/第十三章 決戦のとき/終章

カバー画:蓬田やすひろ
装幀:蓬田やすひろ
解説:黒古一夫
時代:元和四年(1618)
舞台:蝦夷・福山、大千軒岳
(中公文庫・上952円/下1048円・各1998/03/18第1刷・上390P/下456P)
購入日:98/03/21
読破日:98/04/15

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