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からくり乱れ蝶

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からくり乱れ蝶

(からくりみだれちょう)

諸田玲子

(もろたれいこ)
[股旅]
★★★★

股旅もの(渡世人、いわば放浪型ヤクザというべきものか、を主人公とした時代小説)は、どうも共感を覚えにくくて苦手なのだが、新人で女性作家の作品となると、気になる。

諸田さんというと、宇江佐真理さん、乙川優三郎さんと並ぶ、大型新進時代小説家御三家(ほんとうはもっと気の利いたキャッチフレーズをつけたいところだが)と密かに思っている。もっとも、その割りに彼女の作品を全然読んでいないのが情けない。この作品も、3年ほど前に購入して以来、ずっと奥歯に挟まったもののように気になってしょうがなかった、諸田さんの初期の長篇小説。清水の次郎長の女房・二代目お蝶を主人公にしている。

この物語には、吃安の娘・お冴え、女壷振りお駒、次郎長の妻・お蝶と、博徒の世界で生きる女と、その女に関わりながら、幕末という激動の時代を生きる博徒・次郎長と黒駒の勝蔵らの男を描いていく。

ヤクザ社会において優等生的なイメージ(何だかうさんくさいが)の次郎長に、こんな奔放で意地っ張りで可愛い女房がいたというのは、なんだかうれしくなる。諸田さんの凄さは、この同性であるヒロインをとんでもなく魅力的に描いていることにあると思う。

物語●竹居村の安五郎、通称・吃安(どもやす)は、甲州では知らぬものがない博徒の大親分だ。お冴えは、その吃安の妾腹の娘だった。お冴えは、十四歳のとき、吃安の弟分・黒駒の勝蔵に会って以来、一年半恋心を燃やし続けていた。そして、ついに「山腹の炭小屋で待っている」という付け文をした…。

目次■第一部 吃安の娘/第二部 壷振りお駒/第三部 二代目お蝶

装画:蓬田やすひろ
装幀:芦澤泰偉
地図:株式会社人文社
時代:嘉永三年(1850)夏
場所:甲州竹居村、戸倉村、小黒坂村、駿河国江尻仲町、藤枝、吉原、日坂、安東村、駿府城下ほか
(徳間書店・1,700円・97/10/31第1刷・278P)
購入日:97/11/03
読破日:00/09/19

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