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悪の狩人 非道人別帳 [一]

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悪の狩人 非道人別帳 [一]
悪の狩人 非道人別帳 [一]
(あくのかりゅうど・ひどうにんべつちょう1)
森村誠一
(もりむらせいいち)
[捕物]
★★★★☆

江戸市中で起こった凶悪犯罪に、南町奉行所のはみ出し者・臨時廻り同心祖式弦一郎が挑むシリーズ。町奉行所に保管されている非道人別帳(奉行所が取り扱った江戸の犯罪の中でとくに凶悪であり、その所業人道を踏み外す不届き至極な者どもの犯罪事実を記録した帳簿)に基づいて書かれている。
南町奉行所の臨時廻り同心・祖式弦一郎は、事件のないときは、いま起き出してきたばかりのような冴えない顔色をしていたが、江戸の闇の底に潜む悪に向ける嗅覚は抜群。一件落着した事件を独特の嗅覚で掘り下げて、意外な真相を引っ張り出したり、組織のラインから外れたところで、勝手な動きをして大悪をひっ捕まえてくるところから、上役や同役から煙たがられた。悪は彼にとって好きな獲物であった。

タイトルからして、ピカレスクな捕物帳をイメージしたが、意外にバイオレンス度は低く読みやすい。弦一郎も好感が持てるキャラクターになっている。扱っている事件は、林美一さんの「岡っ引権九郎一家のながい一日」にヒントを得た、「女神の焚殺」を除いて、オリジナリティーのあるものばかりで面白い。

物語●「悪の狩人」上様の一声で、鋸挽きの刑が復活した。最初の適用者は、養父殺しの見目美しい娘であった…。「供養千両」江戸の街にかどわかしが流行った。そんな中で、公儀御用の諸国茶問屋の店子の下駄の歯入れ屋の子供がかどわかされ、家主の茶問屋の主人宛に身代金の要求があった…。「猫のご落胤」江戸に一匹しかいない南蛮猫の面倒をみていた商家の隠居のところへ、どこからか三毛猫がすり寄ってきた…。「怨み茸」江戸に辻斬りが流行った。その悉くが一刀のもとに斬り捨てられていた。鮮やかな斬り口であり、死体は悉く耳を削ぎ取られていた…。「女神の焚殺」全江戸のアイドルとなった、三十六軒茶屋の看板娘が、水死体で見つかった…。「誘死香」若い娘がかどわかされて玩ばされた後に、金をつけて送り返されるという事件が多発していた…。

目次■悪の狩人|供養千両|猫のご落胤|怨み茸|女神の焚殺|誘死香

装幀:鴇田幹
時代:不明
場所:日本橋南詰めの広場、新材木町、麹町三丁目、神田鍋町、宇田川横丁、日本橋通二丁目、本郷五丁目、阿部川町、小網町二丁目ほか。
(文春文庫・505円・00/04/10第1刷・300P)
入手日:00/04/07
読破日:00/04/23

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