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青嵐の馬

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青嵐の馬青嵐の馬
(せいらんのうま)
宮本昌孝
(みやもとまさたか)
[戦国]
★★★★

宮本さんのよさというと、何といっても読み味のよさだ。読了感をよくしているのは、魅力的に描かれる主人公によるところが大きい。本書では、信長・秀吉・家康といった戦国の世を制覇した巨人たちと関わりをもち、魅了した三人の男女が、三つの中編に描かれている。

「白日の鹿」の勝子、「紅蓮の狼」の甲斐姫、「青嵐の馬」の久太郎のいずれも、宮本作品でおなじみの純真一途でけれん味のないヒロイン・ヒーローだ。

3話の中では、「紅蓮の狼」が一番印象的だ。風魔小太郎や上泉信綱らも登場する。

物語●「白日の鹿」信長に叛旗を翻した、織田勘十郎信行が立て篭もる末盛城。その勘十郎に仕え、寄せ手の鯨波の声に動揺する城内の女たちを鼓舞するのは、牝鹿を思わせる戦支度の乙女・勝子だった。勝子は、白皙美男の近習・津田八弥を柔弱者と軽侮していた…。
「紅蓮の狼」忍城に姫が生まれた。父は成田下総守氏長で母は太田三楽斎資正の娘北の方である。生まれたばかりの母子に抜き身の短刀を向けるのは、姉姫の甲斐であった…。
「青嵐の馬」二万五千石を領する松平忠頼は、伯父の家康より、保科久太郎を預かるように命じられた。久太郎は、信濃国高遠の保科正直の四男で、忠頼と生母を同じくする十三歳下の弟で、兄弟の生母の多劫(たけ)は、家康の異父妹だった…。

目次■白日の鹿|紅蓮の狼|青嵐の馬

装丁:南伸坊
時代:「白日の鹿」弘治二年。「紅蓮の狼」天正四年。「青嵐の馬」慶長五年。
舞台:「白日の鹿」尾張愛智郡。「紅蓮の狼」武蔵国忍。「青嵐の馬」浜松、三方ケ原。
(文藝春秋・1714円・98/2/20第1刷・314P)
購入日:98/2/19
読破日:98/3/1

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