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尼首二十万石

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尼首二十万石尼首二十万石
(あまくびにじゅうまんごく)
宮本昌孝
(みやもとまさたか)
[短編]
★★★★

南伸坊さんの装幀が読む気をそそる。宮本さん独特のケレン味のない文体、ストーリー展開の妙がまた楽しい。なかでも、「尼首二十万石」と「袖簾」が爽やかでいい。

「黒い川」では、時代小説でおなじみのあの人の子供時代が楽しめる。「袖簾」は歴史小説では、描かれることが少ない早すぎた戦国大名の北条氏の祖・伊勢新九郎が登場する。

「雨の大炊殿橋」のタイトルにある、大炊殿橋は、土井大炊頭利勝の屋敷が近くにあることから名付けられた、後の神田一ツ橋のこと。

「はては嵐の」の三好之長は、魅力的なキャラクターだ。また室町時代についてあまり知識がないので、こういう作品は歓迎。

物語●「尼首二十万石」女好きの旗本の用人は、敵持ちだった…。「最後の赤備え」信長の子、坊丸は父に疎まれ、八歳で東美濃恵那郡の名家岩村遠山家へ養子に出される…。「袖簾」身の丈五尺九寸の尼僧の恋の結末は…。「雨の大炊殿橋」小浜藩の三人の若侍の行末と、武芸者との出会いを描く。「黒い川」上総と下総の国境を流れる栗山川沿いで遊ぶ子どもたちの大きな冒険とは…。「はては嵐の」室町時代後期に活躍する三好之長の数奇な人生を活写する。

目次■尼首二十万石|最後の赤備え|袖簾|雨の大炊殿橋|黒い川|はては嵐の

装幀:南伸坊
時代:「尼首二十万石」享保九年。「はては嵐の」応仁元年
舞台:「尼首二十万石」下谷御徒町。鎌倉東慶寺
(講談社・1700円・97/8/25第1刷、283P)
購入日:97/8/31
読破日:97/9/9

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