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天狗風 霊験お初捕物控(二)

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天狗風 霊験お初捕物控(二)
天狗風 霊験お初捕物控(二)
(てんぐかぜ れいげんおはつとりものひかえ2)
宮部みゆき
(みやべみゆき)
[捕物]
★★★★☆☆

ずーっと待っていた、宮部さんの長編、期待を裏切らない宮部ワールドの時代小説版、堪能した。

お初、古沢右京之介はもとより、お初の兄で岡っ引きの六蔵、その女房で一膳飯屋〔姉妹屋〕を切り盛りするおよし、下っ引きの文吉、料理人加吉、根岸肥前守ら、主要登場人物がますます生き生きと描かれていて、しっくり馴染んできている。

時代小説では、焦点が当たりにくい、少年や少女をしっかり描いていて、宮部さんの眼差しの温かさを感じる。

「道を歩いていていきなり大福餅をぶつけられたかのような顔」(p.159)や「満月が手ぬぐいさげて湯屋ののれんをくぐってゆくのを見たというような顔」(p.214)、「包丁を振りおろして大根の頭を落とすときのように、すっぱりと言った」(p.297)のような、宮部さんらしいレトリックが楽しい。

作品の背景に、谷中の延明院の女犯事件が関わってくるのが興味深い。

お初と右京之介の今後の成り行きとともに、早くも次回作が期待されるところか。

物語●嫁入り前の若い娘が次々と神隠しに…。忽然と姿を消した娘たちの謎を追うお初と右京之介。「震える岩」に続く“霊験お初シリーズ”第二弾。待望の長編時代ミステリー。(帯のキャッチフレーズそのままでスミマセン)

目次■第一章 かどわかし/第二章 消える人々/第三章 お初と鉄/第四章 武家娘/第五章 対決

装幀:熊田正男
時代:享和三(1803)年
舞台:日本橋通町、深川山本町、中之橋、駒形堂。
(新人物往来社・1800円・97/11/15第1刷・474P)
購入日:97/11/16
読破日:97/11/23

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