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仲蔵狂乱

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仲蔵狂乱
仲蔵狂乱
(なかぞうきょうらん)
松井今朝子
(まついけさこ)
[芸道]
★★★★☆☆

第八回時代小説大賞受賞作。プロフィールによると、作者は、早稲田大学大学院文学研究家演劇学修士課程修了後。松竹株式会社演劇制作部企画芸文室勤務後、フリーランスで記者、執筆活動を重ねながら、武智鉄二氏に師事し、近松座において台本執筆、演出に携わる。『ぴあ歌舞伎ワンダーランド』や『東洲しゃらくさし』(PHP研究所)などの著書がある。つまり、歌舞伎のスペシャリストだ。そのため、本作品も安心して読める、芸道小説となっている。

帯に時代小説大賞の選評が掲載されていた、半村良さんの「時代小説の世界から消えるかと心配された、大きな分野である芸道小説を復活させる力になるはずで、若い読者に対する歌舞伎世界への招待状でもあろう」というコメントで言い尽くされているように思う。

その時代を感じさせる意外な人物と仲蔵の交流が時代小説としての面白さを増している。

表紙カバーの東洲斎写楽の「堺屋秀鶴」のしゅうかくは、仲蔵の俳号。当時の歌舞伎役者は俳号を持っていて、仲間内では俳号で呼び合っていたという。作品中で歌舞伎のことを「歌舞妓」と表記されていたが、当時はこういう表記だったのだろうか?

物語●三つのときに、孤児となった仲蔵は、中山小十郎という長唄の唄うたいと、志賀山おしゅんという踊りの師匠が夫婦になっているところに、引き取られ育てられることになる。最初小僧同然に扱われるが、三年後の大病を機会に実子同然に育てられるようになる。そのとき、仲蔵の新しい道が開くことになる。仲蔵の養父となった小十郎は堺町の中村座の座付きの唄うたいであった。また、おしゅうの師匠の師匠は四代勘三郎であった。そんな事情から、仲蔵への厳しい踊りの稽古が始まり、中村座への出入りが始まった…。

目次■蟠竜の章/朱雀の章/白虎の章/玄武の章

カバー画:東洲斎写楽「堺屋秀鶴」二代目中村仲蔵の百姓つち蔵実は惟高親王(アダチ版画研究所復刻)
装幀:菊地信義
時代:元文三年(1738年)~寛政二年(1790年)。
舞台:深川小松町。堺町、葺屋町
(講談社・1,500円・1998/3/10第1刷・336P)
購入日:98/03/13
読破日:98/3/27

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