2023年時代小説SHOWベスト10、発表!

江戸風狂伝

アドセンス広告、アフィリエイトを利用しています。
スポンサーリンク

江戸風狂伝江戸風狂伝
(えどふうきょうでん)
北原亞以子
(きたはらあいこ)
[市井]
★★★★

1997年度女流文学賞受賞作。平賀源内、歌川国芳、池大雅、馬場文耕ら、お上ににらまれ、世に疎まれ、それでも己の意地とプライド、気質に沿って生きたあっぱれな粋人たちの行状を描く短編集。

郡上藩の農民たちと馬場文耕との交流を描いた「いのちがけ」が秀逸。江戸の芸道もの・市井ものを描いて、今いちばん脂がのった活躍をしている北原さんの真骨頂発揮といったところか。

また、遊女との心中で、四千石を棄てた藤枝外記のことも描かれていて興味深かった。山本周五郎さんの「栄花物語」を思い出した。

物語●「伊達くらべ」御用商人石川屋六兵衛は、粋と伊達を追求していたが、その上を行くのが彼の妻およしだった…。「あやまち」池大雅と彼の妻の破門した弟子への愛情を描く…。「憚りながら日本一」材木問屋和泉屋甚助は、自分の考案した太申染を流行させようと身銭をきるが…。「爆発」幽霊がでる新居に住む平賀源内を知人たちが心配して、しきりに引越しをすすめるが…。「やがて哀しき」四千石の旗本藤枝外記は、蔦屋の細見本でかつて通いつめていた吉原の花魁の新造・綾衣が披露目をすませて見世へ出るようになったのを知った…。「臆病者」歌川国芳は改革のお触れを恐れて、世話になった御用商人の依頼を断ったが…。「いのちがけ」馬場文耕は、七日間のつづきものとして、新作の講釈をすることになった…。

目次■伊達くらべ|あやまち|憚りながら日本一|爆発|やがて哀しき|臆病者|いのちがけ

デザイン:蓬田やすひろ
時代:「伊達くらべ」天和元年、、「憚りながら日本一」宝暦十一年、「爆発」安永八年、「やがて哀しき」天明三年、「臆病者」天保十三年、「いのちがけ」宝暦八年
舞台:「伊達くらべ」上野広小路、「あやまち」京・真葛ヶ原、「憚りながら日本一」日本橋通町、「爆発」神田橋本町、「やがて哀しき」吉原、「臆病者」新和泉町、「いのちがけ」日本橋榑正町(くれまさちょう)ほか。
(中央公論社・1400円・97/6/30第1刷、97/9/20第2刷・235P)
購入日:97/10/3
読破日:97/12/20

Amazon.co.jpで購入[文庫版あり]