隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動


隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動
隠密 味見方同心(一) くじらの姿焼き騒動
(おんみつあじみがたどうしん1 くじらのすがたやきそうどう)
風野真知雄
(かぜのまちお)
[捕物]
★★★★☆☆

風野真知雄さんの新シリーズは、江戸の料理がテーマ。しかも、定番の料理ではなく、これまで見たことも聞いたことないような新しくて珍妙なものです。

月浦波之進は、南町奉行所に出仕して七年の腕利きの同心。剣も頭も冴え、しかも美男だった。月浦家の家族は、母が亡くなって、父の壮右衛門、妻のお静、二つ年下の魚之進の四人家族。その波之進に、奉行の筒井和泉守から名指しで特命が下った。「味見方」として江戸の食いもの屋の動向を探り、悪事を隠密のうちに調べ、摘発していくという任務だった……。

主人公の特命の設定がユニークですが、江戸の流行の食べ物として登場します。雷うどん、妖怪団子、禿げそば、うなぎのとぐろ焼き、鍋焼き寿司と、いずれも新奇で料理名を聞いてもどんなものか想像がつかないくらいです。

不思議なもので読んでいくうちに、珍料理なのにおいしそうに思えて、食べてみたくなります。作者が江戸の料理をよく調べて、料理を考えているのでしょうか。

「美味の傍には悪がある」

波之進は、くじらの姿焼き騒動を調べるうちに、抜け荷が絡んでいるのではと思い、背後に黒幕がいるのではないかと疑いを持ち始める……。

巧みに伏線を張りながらも、一気に読ませるストーリー展開。主人公の痛快な活躍ぶりが楽しめ、スケール感も大きく、エンターテインメントのツボを押さえています。開幕作としての出来が良いだけでなく、憎らしいほど続きが楽しみになる構成で、シリーズの今後にも大いに期待できます。

目次■第一話 禿げそば/第二話 うなぎのとぐろ焼き/第三話 くじらの姿焼き/第四話 鍋焼き寿司

カバー装画:宇野信哉
カバーデザイン:芦澤泰偉
時代:南町奉行が筒井和泉守政憲(文政4年~天保12年)のころ
場所:南町奉行所、八丁堀、蛤新道、湯島六丁目、西平野町、大島町、越中島、人形町、ほか
(講談社・講談社文庫・610円+税・2015/02/13第1刷・261P)
入手日:2015/02/10
読破日:2015/02/19
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