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平安京の検屍官 検非違使・坂上元継の謎解き帖

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平安京の検屍官 検非違使・坂上元継の謎解き帖平安京の検屍官 検非違使・坂上元継の謎解き帖
(へいあんきょうのけんしかん・けびいしさかのうえのもとつぐのなぞときちょう)
川田弥一郎
(かわだやいちろう)
[平安]
★★★★

時代は、藤原忠平が亡くなった一年後、村上帝の頃。『江戸の検屍官』の川田さんが、舞台を平安朝に移して描いた医学ミステリー。物の怪が当然のことと考えられていて、陰陽師たちが活躍する時代に、どのように検屍を展開するかが興味深かった。

元継の愛人・顕子の不思議な能力が、事件解決の鍵を握る。

江戸時代、奉行所の与力や同心をなぜ、不浄役人と呼ぶようになったかが、この本を読んでいると何となくわかった。古来、死体というのは不浄のものと考えられていた。そのため、死人に触れてしまうと三十日のけがれとなり、けがれてしまった人が行った場所、触れたもの、会った人もけがれてしまうので、けがれをばらまかないように気をつけなければならないとされていた。そして、けがれに関して最もうるさいのが内裏であった。そこで内裏では、人が死んでも、死にかかっていることにして、内裏の外(たとえば検非違使庁など)に運び出し、そこで死んだことにしたらしい。

◆主な登場人物
坂上元継(さかのうえのもとつぐ):検非違使大尉(だいじょう)
林季貞(はやしのすえさだ):看督長(かどのおさ)。元継の部下
助里(すけさと):放免(ほうめん)。元継の部下
源高明(みなもとのたかあきら):検非違使別当(長官)、中納言
藤原師輔(ふじわらのもろすけ):右大臣、九条殿。娘は安子女御
藤原元方(もとかた):民部卿中納言。娘は祐姫更衣(すけひめこうい)
顕子:元継の愛人。主計頭(かずえのかみ)藤原顕友の娘
観輪(かんりん):魂寄せを行う祈祷僧
緒津(おつ):観輪の使う憑坐(よりまし)
和気時雨(わけのときさめ):典薬頭(てんやくのかみ)。平安京一の名医

物語●「御簾の奥の怪」今をときめく右大臣の娘安子が、帝の子を宿した矢先、安子に仕えている女房が変死した…。「月夜の池の怪」備前守の娘が、屋敷の池で死んでいた…。「夏の大路の怪」阿波守の家へ賊が入り、家人が殺された…。「夜半の宴の怪」宴の翌朝、文章の達人が女と共寝の末に亡くなった…。「秋の古寺の怪」近江大掾の娘が盗賊に盗まれた衣装を取り返して欲しいと、元継に依頼した…。「凍てる橋の怪」検非違使で使っている放免の三人組が、古い屋敷で、裸の男の死骸を見つけた…。「雪の内裏の怪」火の手の上がっている屋敷の中から、人の乗った馬が二頭飛び出してきた…。

目次■第一話 御簾の奥の怪|第二話 月夜の池の怪|第三話 夏の大路の怪|第四話 夜半の宴の怪|第五話 秋の古寺の怪|第六話 凍てる橋の怪|第七話 雪の内裏の怪

カバーイラスト:白石むつみ
カバーデザイン:中原達治
時代:天暦四年(950)
場所:七条坊門小路北、内裏、五条大路北ほか
(祥伝社・1,700円・98/09/15第1刷・331P)
購入日:98/09/10
読破日:98/10/05

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