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江戸の検屍官 北町奉行所同心 北沢彦太郎謎解き控

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江戸の検屍官 北町奉行所同心 北沢彦太郎謎解き控
江戸の検屍官 北町奉行所同心 北沢彦太郎謎解き控
(えどのけんしかん・きたまちぶぎょうしょどうしんきたざわひこたろうなぞときひかえ)
川田弥一郎
(かわだやいちろう
[捕物]
★★★★☆

『銀簪の翳り』が面白かった、江戸の検屍官・北沢彦太郎シリーズの一作目。著者は、『白く長い廊下』で江戸川乱歩賞を受賞したことがある、医学ミステリーの雄。

主人公の北町奉行所定町廻り同心・北沢彦太郎は、検屍の教典、「無冤録述」を片手に人が嫌う死体改めに熱を入れ、数々の手柄をあげてきた、というユニークな設定がいい。

また、その彦太郎を助ける、医師古谷玄海、絵師お月、彦太郎の妻お園のキャラクターがそれぞれ、個性的で面白い。また、毒婦タイプの謎の女性も出てきて作品を盛り上げてくれる。

本作品は、連作でここに取り上げられている6つの事件の死因は、すべて異なる。このシリーズでは、聞き込みや立ち回りといった派手な捜査活動よりも検屍という地味な作業に焦点を当てているので、推理という部分にポイントが置いている。この本を読んでいると、昔は驚くほど、冤罪が多かったのではないかという気にさせられる。

毒殺かどうかを調べるために、銀の簪を口中に入れてみたり、近くで入手した数羽の鶏に、死体の口中にしばらく入れておいた握り飯を食べさせたりと、当時の検屍法が描かれていて興味深い。

物語●「嘲笑う女」元芸者が殺された。鳩尾には殴打痕があった。この女には身請けした商人のほかに二人の情夫があった…。「井戸の底」井戸の底で若い女性の屍が見つかった。果たして溺死なのか…。「紫色の顔」不忍池の出合茶屋で若い女の縊死が発見された。大店の箱入り娘だったが、一緒にいた男は誰か…。「口中の毒」大店の主人が死んだばかりなのに、今度は次男の嫁が死に、毒殺ではないかという疑いが…。「襲撃の刃」来月に祝言を控えた商家の養女が失踪し、いっしょにいた女中は後ろから殴られて気を失い、用心棒代わりについていた手代も行方知らずになった…。「雪の足跡」雪の日に妾が殴り殺された。殺人があったしもた屋へ入っていった足跡は2つで、出ていった足跡は1つ…。

目次■第一話 嘲笑う女|第二話 井戸の底|第三話 紫色の顔|第四話 口中の毒|第五話 襲撃の刃|第六話 雪の足跡

装画:白石むつみ
装幀:中原達治
時代:文政五年(1822)頃
舞台:本所三笠町。深川上大島町。池之端仲町。京橋加賀町。元鳥越町。
(祥伝社・1600円・97/1/20第1刷・253P)
購入日:98/1/25
読破日:98/2/15

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