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戯作者銘々伝

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戯作者銘々伝
戯作者銘々伝
(げさくしゃめいめいでん)
井上ひさし
(いのうえひさし)
[芸道]
★★★★☆ [再読]

十数年ぶりに再読した。初読時は、中公文庫版だった。当時は江戸に関する知識が全くなく、まして戯作者など式亭三馬と山東京伝ぐらいしか知らなかった。にもかかわらず、面白かったことだけを記憶していた。

再読してみて、やはり面白かった。12人の戯作者の生態をひねりの利いた筆で綴る技は、現代の戯作者といったところか。個人的には、「恋川春町」の章が好きだ。

物語●「鼻山人」手妻の柳川花蝶斎は、東里山人のことで北町奉行の吟味を受けた…。「半返舎一朱」十返舎一九の未亡人のお民と娘の舞は、六阿弥陀詣にでかけた…。「三文舎自楽」筆耕彫師の茂七を深川芸者のお米が仕事場が見たいと訪ねてきた…。「平秩東作」四谷大木戸の煙草問屋に強盗が入り、内儀を人質にした…。「松亭金水」町医者の永井鶴友のところに、これから医者を開業しようという男が訪ねてきた…。「式亭三馬」四谷塩町の湯屋に目の不自由な隠居がやってきた…。「唐来参和」吉原のしんこ指作りのお信を定廻りの同心が訪ねてきた…。「恋川春町」恋川春町の墓の前で、未亡人のお園と秋田佐竹藩の平沢平格が再会した…。「山東京伝」京伝の女房のお百合は座敷牢に入れられることになった…。「芝全交」能楽者の伝八郎は水戸家の重役と会っていた…。「馬場文耕」講釈師の志道軒は、同業の馬場文耕をネタに辻講釈をした…。「烏亭焉馬」三笑亭可楽は、差配人を相手に『遣繰軍談』の一席をはなした…。

目次■鼻山人|半返舎一朱|三文舎自楽|平秩東作|松亭金水|式亭三馬|唐来参和|恋川春町|山東京伝|芝全交|馬場文耕|烏亭焉馬|解説 中野三敏

カバー装画:山藤章二
カバーデザイン:山藤章二
解説:中野三敏
時代:「鼻山人」天保十三年。「半返舎一朱」天保七年。「三文舎自楽」天保七年。「平秩東作」天明七年。「松亭金水」文久三年。「式亭三馬」天保十一年。「唐来参和」文化七年。「恋川春町」寛政四年。「山東京伝」文化十四年。「芝全交」文化九年。「馬場文耕」宝暦九年。「烏亭焉馬」文政五年。
場所:「鼻山人」北町奉行所。「半返舎一朱」六阿弥陀詣。「三文舎自楽」浅草御蔵前。「平秩東作」四谷大木戸。「松亭金水」本郷附木店。「式亭三馬」四谷塩町。「唐来参和」吉原。「恋川春町」内藤新宿北裏町。「山東京伝」京伝店。「芝全交」水戸家屋敷。「馬場文耕」浅草観音堂脇。「烏亭焉馬」本所相生町竪川ほか
(ちくま文庫・640円・99/05/24第1刷・270P)
購入日:99/05/30
読破日:99/09/11

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