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雷電本紀

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雷電本紀
雷電本紀
(らいでんほんぎ)
飯嶋和一
(いいじまかずいち)
[芸道]
★★★★☆☆

序から始まり、蒼竜、朱雀、白虎、玄武と風水術を連想される章立てで展開される長編だが、ヤマ場が二つあって、「一粒で二度おいしい」作品。

とにかく、主人公の雷電と助五郎をはじめ、爽やかな生き様の男たちが続々と登場するのがうれしい。助五郎と番頭の麻吉の主従を超えた関係は、ロバート・B・パーカーのスペンサーとホークの関係を彷彿させて楽しいやら、泣けてくるやら。

谷風や小野川をはじめ、今は年寄名として残る伝説の相撲取りを登場させ、江戸時代の相撲の様子を活写している。意味もよく分からず様式化されたような今の大相撲とオーバーラップさせると、いろいろと興味深い。

物語●信濃出身の稀代の相撲人雷電為右衛門は、飢えや貧困に苦しむ民衆の偶像であろうと、悩みながらも相撲に真摯に取り組んできた。一方、助五郎は、大火で鉄物問屋鍵屋を営む両親と妹をなくしながらも、小僧の麻吉と助け合いながら、店を再興する。雷電と助五郎の人としての生き様と友情を描く力編。

目次■序/蒼竜篇/朱雀篇/白虎篇/玄武篇/〔インタビュー〕覚醒か、遮蔽か(聞き手)久間十義

カバー装丁:ミルキィ・イソベ
表紙デザイン:粟津 潔
(河出文庫・777円・96/9/4発行)
購入日:97/5/1
読破日:97/5/31

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